本日、平成28年度の臨床研修修了証授与式が執り行われました。
当院で2年の初期研修を終えた5名の医師。式には院長、プログラム責任者をはじめ、多くの医師、看護師、コメディカル、事務職員が列席しました。
先生方の、今後益々の発展とご活躍をお祈りします。
第3回 動脈硬化性疾患、それは沈黙の殺人者!の巻
厚生省が発表している人口動態統計というデータによると、日本人の死亡原因の第1位は「ガン(悪性新生物)」、第2位は「心疾患」、第3位は「脳血管疾患」だそうです。【動脈硬化性疾患=脳梗塞・心筋梗塞等】ですので、もしかしたらまとめて死亡原因の2位くらいにはなるのではないでしょうか。奴(=動脈硬化性疾患)は足音を立てることなく数年~数十年で忍び寄ってきます。それが「沈黙の殺人者」と呼ばれるゆえんです。そう、自覚症状がほとんどないのです。恐ろしいですね。でも安心してください。自覚症状がなくても病院では自分の動脈がどうなっているかを調べる方法があるのです。例えばエコーで頸動脈の内膜の厚みを測定する方法。手足の血圧を同時に測ることで動脈の硬さを数値化する方法(CAVI:キャビィ)。そして造影剤と放射線を使いますが心臓CTを撮影すれば心臓の血管(ほんの2-3㎜)まで高解像度でくっきりと見ることが可能です。宣伝ではありませんが、ご自身の動脈硬化が気になる方は、一度お医者さんにご相談ください。動脈硬化から身を守るのはそう、自分自身です。次回は足のお話をさせて頂こうと思います。
一宮西病院 循環器内科 医長 市橋 敬(いちはし けい)
2月23日(木)、尾張一宮駅前ビル「iビル」にて、医療従事者向けセミナー「尾張糖尿病チーム医療セミナー」が開催されました。
【開催概要】
タイトル:尾張糖尿病チーム医療セミナー
日時:2017年2月23日(木)18:50~20:30
会場:尾張一宮駅前ビル・iビル 2階大会議室(愛知県一宮市)
Session1:糖尿病劇場の作り方と療養指導への有用性
Session2:実践!糖尿病劇場
共催:尾張糖尿病チーム医療研究会・MSD株式会社
当院からも糖尿病サポートチームのスタッフが演者として参加、「糖尿病劇場」を実践しました。「糖尿病劇場」とは、“演劇を用いたワークショップ型医療者教育”で、2009年の日本糖尿病学会学術集会で行われたことで知られるようになりました。糖尿病患者さんとの効果的なコミュニケーション方法を学ぶ手法として注目を浴びています。日常の糖尿病指導の現場からありふれた1シーンを再現し、患者さんと医療者の「思いのずれ」を演じ、その後ワークショップを行います。この日演じた糖尿病サポートチームのスタッフは、2ヶ月以上前から準備に取り掛かり、自分たちでシナリオや小道具も作りました。実際に劇を演じたスタッフからは、「打ち合わせや練習を重ねる中で普段の臨床現場を振り返ることができ、コミュニケーションスキルの向上やより深いチーム力を得ることができたように感じる」という声もあがっていました。
開会の辞ならびにSession1の座長を務めた一宮西病院の森昭裕副院長。
医師を演じる当院スタッフと、その「心の声」を演じる伏見宣俊医師。
登場人物の背景も細かく設定、診療場面の1シーンをリアルに再現。
演じることで新たな発見も。価値あるセミナーになりました。
第2回 動脈は3層のバームクーヘン!?の巻
心臓から出てくる1本の太い上行大動脈も、枝分かれして細くなった2㎜たらずの橈骨動脈も、輪切りにすると全部3層構造になっていて、まるでバームクーヘンです。一番内側は内膜といってほんの薄皮です。そして真ん中(中膜)と一番外(外膜)は割としっかりとした造りになっています。動脈硬化はというと、この内側の薄皮にコレステロールが溜まって分厚くなったり、時にはカルシウムが沈着して貝殻のようにカチコチになったりする現象をいいます。分厚くなった分は内側にはみ出しますので、バームクーヘンの穴(動脈だと血液の通る内腔)は狭くなっていき、いずれ詰ってしまいます。穴が埋まったバームクーヘンはちょっとおトクな気がしますが、動脈だと大変なことです。頸動脈や脳動脈が詰ると脳梗塞、心臓の血管が詰れば心筋梗塞で命に関わります。足の血管が狭くなれば、足への血流が不十分で、少し歩くだけでたちまち足が痛くなってしまうのです。これらをまとめて「動脈硬化性疾患(どうみゃくこうかせいしっかん)」と呼んでおります。では次回はもう少し「動脈硬化性疾患」を掘り下げてみたいと思います。
一宮西病院 循環器内科 医長 市橋 敬(いちはし けい)
白坂暢朗(脳神経外科 後期研修医) × 篠田明紀良(循環器内科 後期研修医)
他院よりも早く多く経験を積む
(白坂)早いもので、後期研修が始まってから3か月(※)が経ちましたね。本当にあっという間でした。(※2016年8月時点)
(篠田)本当に。症例をどんどん回してもらえるから、その対応だけで時間が過ぎていきますよね。
(白坂)たしかに。この3か月だけでも、症例はかなり経験できました。
(篠田)病院自体がまだ若くて症例数が伸びていますからね。
(白坂)携わらせてもらえる診療の幅も広いなと思います。脳神経外科では上の先生方のオペに助手としてどんどん入れますし、執刀医を任せてもらえるオペもあります。
(篠田)循環器内科もかなり早く経験を積ませてもらえますよ。この3か月間で、診断カテーテルはオペレーターとして100件近く経験させてもらいましたし、2か月目には治療もファーストオペレーターとして最初から最後までやらせてもらいました。他ではなかなか珍しいようなので、本当に感謝しています。
尊敬する指導医をロールモデルに
(白坂)指導医の先生はどうですか?
(篠田)指導医の寺村先生(医師13年目)はカテーテルの技術だけでなく、人柄含めて素晴らしいと思います。
(白坂)もう少し具体的に言うと?
(篠田)指導には熱があるけれど、カテーテル中はとにかく冷静。声を荒げているところを見たことがありません。急変の患者さんが多い中、常に冷静で、周りのスタッフへの指示も的確なんです。寺村先生がいつも落ち着いているからこそ、周りも余計な心配をせずにスムーズに動けていると感じます。
(白坂)僕の指導医の伊藤先生(医師11年目)も同じで、とにかく冷静。まだ30代半ばの若手エースとして部長も太鼓判を押していて。それでいて常に謙虚。憧れます。
(篠田)経験が10年くらい上の先輩医師は、ロールモデルとして見やすいですよね。自分が10年後にどういう風になるかイメージしやすいし、腕を磨かなければというモチベーションになる。とはいえ、本当に寺村先生ほどのレベルに到達できるのか、気が遠くなることもありますが……(笑)
(白坂)今の僕らにできることは何よりも場数……できるだけ多くの経験を積むことですよ。きっと。
一宮西の専門医第1号になる
(篠田)当面の目標はありますか?
(白坂)先生方が僕たちに期待してくれているのも感じますし、その期待に応えたいなと。だから、僕は当院で脳神経外科専門医の取得者第1号になって、「一宮西で専門医を取れるぞ」って証明したいんです。
(篠田)僕も、まずは専門医の取得に向けてとにかく頑張りたい。このペースで症例を積めたら、他院では考えられないくらいの症例を後期研修で経験できると思います。専門医を取得する頃には、カテーテルがものすごく上手くなっているはず。その僕を見て研修医の先生方に入職してもらえたら嬉しい。
(白坂)一宮西で後期研修を経験すれば、多数のカテーテルを経験できて、これだけ上手くなれるよと示すわけですね。そして、僕らが指導をする。そういえばこんな話、前に篠田先生と食事したときにも出ましたよね。初期研修医が能力を磨ける環境を、僕ら後期研修医がつくっていけたらいいんじゃないかって。
(篠田)そうそう。指導医の寺村先生はじめ、上の先生方の優しく熱心な指導を受けていると、僕も早く一人前になって役に立ちたいって気持ちが込み上げてきますね。
(白坂)一緒に頑張りましょう!