第4回 一宮西病院WEB公開講座 『脳卒中のお話~予防から治療まで~』

第4回 一宮西病院WEB公開講座健康寿命をのばすために~
テーマ:脳卒中のお話~予防から治療まで~
講 師:一宮西病院 脳神経外科 部長 安田 宗義 医師

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脳の血管が詰まる「梗塞」、脳の血管が破れる「出血」

脳の動脈にトラブルが生じて起きる病気をすべて脳卒中と言い、トラブルには大きく分けて〈詰まる〉〈破れる〉の2つがあります。さらに、そのトラブルが起きる部位は、最も太い血管の主幹動脈、脳の表面を走る血管、顕微鏡でしか見えないほどの細い血管の3つがあり、この血管のどこかが詰まると「梗塞」、破れると「出血」という病名が付きます。まずは脳の血管が詰まる病気、私たち専門医が虚血性脳血管障害と呼ぶ脳梗塞についてお話しします。脳梗塞のなかで最も多いのが、細い血管が詰まって起こる「ラクナ梗塞」。そして次に多いのが、脳の表面を走る血管が詰まって起こる「アテローム脳梗塞」です。一方、詰まる病気のうち最も恐ろしいのが「心原性脳梗塞」。お風呂の栓がスポンとはまり込むように、太い血管に大きな血の塊が詰まり、脳のほとんどを損傷してしまう命に関わる危険な病気です。脳の血管が破れる出血性脳血管障害には、出血により脳内に血の塊ができる「脳内出血」と、脳の表面からシワにかけて出血を起こす「くも膜下出血」があります。

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比較的軽度な脳梗塞は主に薬や点滴で治療

次に、それぞれの病気の特徴や症状についてお話しします。まずはラクナ梗塞ですが、アテローム脳梗塞と比べると軽症で、1カ月程でほぼ治ります。アテローム脳梗塞は、血管の内壁にコレステロールがこびり付いて血管の壁が傷付くと、血液中の血小板がかさぶたを作ろうとして集まり、そのかさぶたの上にコレステロールが付き、そこにまた血小板が集まり…を繰り返して血管が詰まる病気で、後遺症が強く残る傾向があります。原因の1つは加齢ですが、その他の大きな原因として高脂血症、高血圧、糖尿病、喫煙などが挙げられます。ラクナ梗塞とアテローム脳梗塞の主な症状は、手足に力が入らない、ろれつが回らない、めまい・ふらつきなどがあり、頭痛の症状を訴える方はあまりいません。ラクナ梗塞とアテローム脳梗塞の治療では、血液をサラサラにする抗血小板剤という薬を服用します。また、脳梗塞で入院した直後の患者さんには、血小板の機能や血の固まり具合を穏やかにする点滴をして急性期を乗り切ります。

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命に関わる心原性脳梗塞 症状があれば即、救急車!!

脳の主幹動脈が詰まる心原性脳梗塞は、その名のとおり原因は心臓にあります。心房細動など不整脈があると心臓の血液がよどんで血栓ができ、その血栓が外に押し出されて脳に詰まることで起こります。心原性脳梗塞の主な症状は、非常に重い半身まひ、意識低下(昏睡状態)、言語障害などです。治療は、坑凝固剤の服用のほか、治療のタイミングによって点滴を投与したり、カテーテルによる血栓回収治療を行ったりします。症状がある場合、すぐに救急車を呼んでください。

脳内出血は血圧管理が重要 起床時の高血圧は要注意

次に、出血性脳血管障害の特徴や治療についてです。まず、細い血管が破れて起きる脳内出血の原因は、ほとんどが高血圧です。最大血圧が常時170㎜Hg以上の方は、いつ血管が破れてもおかしくなく、特に、夕方よりも朝起きたときの血圧のほうが高い方は要注意です。主な症状は急な半身まひで、頭痛を訴える方はまれです。ただ、血だまりが大きいと頭痛や意識が低下することもあるので、症状が軽いうちに救急受診することを強くおすすめします。脳内出血の治療は、脳を押しつぶすほど大きい血だまりがある場合を除き、原則として手術は行わず、血圧を管理して血だまりが引くのを待つのが一般的です。

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脳卒中の予防につながる、生活習慣病の予防・治療

くも膜下出血は、太い血管にできた脳動脈瘤が破れることで起こります。症状は、突然の激しい頭痛、吐き気・嘔吐、意識喪失などで、手足のまひはほとんどありません。治療は脳動脈瘤を処理する手術を行います。1つはクリッピング手術と言い、頭を開いて血管にできた瘤をチタン製の専用クリップで挟みます。もう1つはカテーテル手術で、太ももの付け根の動脈から脳血管の瘤までカテーテルを通し、瘤のなかにプラチナの専用コイルを詰めて破裂を防ぎます。脳卒中生活習慣病の予防・治療が大きな力を発揮するので、高血圧や糖尿病などがある方は、かかりつけ医と相談しながら、しっかり治療を行いましょう。

第21回全国病院広報研究大会にて『BHI企画賞』を受賞しました

一宮西病院 事務部 広報・医療サービス課が「第21回全国病院広報研究大会」にて『BHI企画賞』を受賞しました。

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本大会は、医療・福祉施設で行われた広報活動や情報公開に関わる事例(実際に主体的に実施した広報誌・ホームページ・メディア対応などの広報事例)を公募し、その社会貢献度や自院の専門性の公開を通じて、通常目に見えることのない企画意図を伝えることを目的としたものです。今年は全国から40演題のエントリーがあった中、当院は1次選考を経て最終審査の10演題に残り、更にその中で『BHI(ベストヘルスケアインフォメーション)企画賞』受賞の栄誉を賜りました。昨年、四国中央市社会医療法人石川記念会・HITO病院)で開催された第20回大会に続き、2年連続の上位入賞となります。

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【概要】
■受賞者 : 一宮西病院 事務部 広報・医療サービス課.
■研究会名 : HISフォーラム2017in大阪, 第21回全国病院広報研究大会.
■授与機関 : NPO法人日本HIS研究センター.
■日時/場所 : 2017年10月28日. / PGUユニオンプラザ; 大阪府門真市.
■演題名 : 積極的リリース戦略で躍進し続けるメディア露出.

◎関連記事
応募演題事例について|HISフォーラム2017 in OSAKA 第21回 全国病院広報研究大会|松下記念病院

連載企画 『足は第二の心臓です!?~循環器内科医が診る足病のはなし~』 第11回

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第11回 足の指が痛い、指先の色が悪くなったら要注意!

冬場に足の外来をやっておりますと、やはり「重症下肢虚血」の患者様のご紹介が増えてまいります。寒くなる12月ごろから○○で、という内容で症状を訴える方が多いです。では足(足の指)は本当に「いきなり」黒くなるのでしょうか?あるデータによれば「跛行(はこう)」症状のある方が治療を受けられなかった場合、5年で約5~10%の方が「重症下肢虚血」に移行すると言われています。一方あまり歩かないために、前駆症状である「跛行」症状に気づかず過ごした場合は「いきなり黒くなった」と思われます。そのため早期発見のためにできることは、ABIを測る・跛行症状がないかどうかを調べるということです。

さて、動脈硬化によって出来たり治らなかったりする足の傷の特徴は、心臓から遠い場所にできるというもので、足の指先の潰瘍や黒色化がそれに当たります。一方、糖尿病で出来る足の傷は、足の変形や感覚障害のために母趾(ぼし)の外側など靴の圧迫を受ける箇所や、荷重がかかる箇所(人によって様々)です。また糖尿病を長く患っている方ですと、神経障害によってすごく痛そうに見えても、ご本人は全く痛くないということもあります。

冬場に入って足の指が痛い、指先の色が悪くなったら要注意ですので医療機関に是非ご相談下さい。

一宮西病院 循環器内科 医長 市橋 敬(いちはし けい)

特別編集『一宮西病院が更に進化します・北棟増築工事進捗ムービー』を制作しました

今年5月より開始した一宮西病院・北館の増築工事ですが、この半年間の軌跡をムービーにまとめました。更なる進化に向けて進みつつある北棟工事の軌跡を、特別編集『一宮西病院が更に進化します・北棟増築工事進捗ムービー』で、是非ご確認ください。

■一宮西病院・北棟増築概要
増築エリアには、MRI・CTを各1機増設、2階は55床の病棟、3階にはOPE室を延伸し現在の8室から11室(将来拡張も含めると最大12室)を予定。OPE室は広々とした次世代の設計を採用、尾張西部エリアで初となるハイブリッドオペ室も完備されます。北棟は2018年5月の完成・稼動開始を予定しています。

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一宮西病院が更に進化します(北棟増築工事進捗ムービー)

11月7日より『一宮西病院・糖尿病週間』各種イベントを開催します

11月14日は世界糖尿病デーです。一宮西病院では11月7日(火)から18日(土)を“糖尿病週間”とし、期間中様々な企画を開催いたします。

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■糖尿病ポスター展示
【日時】11月7日(火)~18日(土)
【場所】一宮西病院内・1階ホスピタルストリート
◎診療時間内であればいつでもご覧頂けます。

■糖尿病《健康》教室
【日時】11月9日(木) 午前10時~午後2時
【場所】一宮西病院・3階大会議室
【申込】一宮西病院・1階ブロック受付
◎申込締切:10月31日(火) ◎参加無料 ◎先着10名

■糖尿病《運動》教室
【日時】11月11日(土) 午後1時~午後4時30分
【場所】一宮西病院・3階大会議室
【申込】一宮西病院・1階ブロック受付
◎先着申込順となります ◎参加無料 ◎先着20名

■市民公開講座
【日時】11月14日(火)午後2時30分~午後4時30分
【場所】一宮西病院・3階大会議室
【テーマ①】見直そう!正しい糖尿病との付き合い方
(講師)伏見 宣俊(一宮西病院 内分泌・糖尿病内科 副部長)
【テーマ②】本当に効くの?巷でよく聞く糖尿病のはなし
(講師)尾関 彩(一宮西病院 看護師・糖尿病療養指導士)
◎申込不要 ◎参加無料 ◎先着100名

■糖尿病つどい
【日時】11月15日(水) 午後1時~午後2時
【場所】一宮西病院・1階外来待合
◎申込不要 ◎参加無料

■糖尿病《料理》教室
【日時】11月17日(金) 午前9時~午後2時
【場所】東邦ガス一宮営業所
【申込】一宮西病院・1階ブロック受付
◎申込締切:11月8日(水) ◎参加費600円 ◎先着24名

皆さまのご参加、ご来院をお待ちしております。

熱き働き人 脳神経外科・医長 伊藤圭佑(いとうけいすけ)

プロフェッショナル論~働く上でのこだわり~

外科医である限り、自分の手術の質にこだわりたいと思っています。私は脳血管障害を専門にしていますが、この分野での血管内治療は急速に発展しています。それに伴い救える患者さんの対象も広がりましたし、救う対象も“命”だけでなく、“脳細胞”つまり“脳機能”も対象になりました。手術の成否が患者さんの機能予後に直結するようになりましたが、裏を返せば、手術の質がよりシビアに求められる事にほかなりません。脳細胞は数時間の虚血で死滅しますから、特に緊急の場面では、目の前の患者さんはその場にいる私達にしか救えません。ですから、救える患者さん、救える“機能”をより多くするために技術を磨く事は自分の責務だと思っています。一方で、開頭手術の技術もこだわりの一つです。急速に進歩する血管内治療は、患者の需要に対し医師の供給はまだ追いついていませんが、華やかな血管内治療を志す若手医師が増え、その需給バランスも10年後には変化しているはずです。その頃にはむしろ質の高い開頭手術ができる脳外科医が希少価値になるかもしれません。その時にそれを指導できる脳外科医になる事が自分の価値を高めると考えています。

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明日への挑戦~自らに課している要求~

テーマは、教育です。自分が脳外科医として一人前になるゴールは、自分の技術・知識を全て受け継いだ後輩が育った時だと考えています。先輩方から受け継いだ技術・知識をより大きく育てた上で後輩に繋ぐ、脳外科の歴史を未来へ繋ぐ歯車の一部になる、大袈裟に言えばそんなイメージです。後輩を少なくとも自分のレベルまで引き上げる。もちろんそれが簡単に達成できるような低いレベルでは意味がありませんから、自分もさらにレベルアップしなければなりません。さらに理想は、後輩が自分のレベルに到達させるまでの期間をできるだけ短くすることです。なぜなら、今の医療レベルがゴールだとは到底思えないからです。医学は今なお発展し続けているわけで、教科書が改訂される度に分厚くなるのと同じように、後の世代になるほど、身につけなければならない技術・知識は多くなるはずです。ですから、自分が試行錯誤しながら身につけた技術・知識は、より効率的に後輩に伝える必要があると思っています。いずれは、この施設で勉強したいと希望する若手医師が集まってくるような教育が出来ればと思っています。

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理想の病院~こういう病院にしたい~

医療レベルはもちろん、サービス面など様々な要素があると思いますが、自分が理想とする病院は、自分の家族など大切な人に何かあった際に任せられる病院だと思っています。ここで日夜働いていて、表も裏も全て知り尽くしているスタッフが自分の大切な人が病気になった時、迷う事なく連れて来られる病院が理想だと思います。ですから、個人的には日々一緒に働いているスタッフに信頼される仕事がしたいと思っています。(なかなかハードルは高いですが。。。)また、地域への貢献という意味で、病院間の連携でもリーダーシップをとれるようになれればと思います。もちろんまずやるべきは当院に入院された患者さんの治療成績の向上かもしれませんが、いくら当院での治療成績が良くても地域全体での治療成績が悪ければ、地域への貢献としてはまだまだ足りないと言えます。啓蒙活動も必要ですし、地域医療を担うそれぞれの病院との連携も必要でしょう。最終的には、この地域の医療レベルが全国トップレベルにある、その中心に私達の一宮西病院があるとなった時、真に地域へ貢献できたと胸が張れると思います。

脳神経外科・医長 伊藤圭佑(いとうけいすけ)

連載企画 『足は第二の心臓です!?~循環器内科医が診る足病のはなし~』 第10回

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第10回 足のアカギレが治らない!?それって本当にアカギレ?

みなさん、手などにちょっとした怪我したことありますよね。でもどうでしょうか、1週間もあれば切り傷はくっつくし、擦り傷はカサブタになって治りますね。しかし足の血管が詰まって血行が悪くなると、足の指や踵にできた傷が治らないことがあります。

先日も、“アカギレと思って2か月ほど皮膚科に通って軟膏を塗っていたのに治らない”ということで、循環器内科に紹介になった患者さんがおられました。案の定、足の動脈は左右詰まっており、血流障害で傷が治らない状況でした。こういった状態は「重症下肢虚血(じゅうしょうかしきょけつ)」といって、足の血管病の最重症といえます。症状の放置で実際に足を失う(切断する)方も多く、問題となっています。特に糖尿病を長く患っている方は感覚障害があって、足の痛みを感じにくいです。なんと、画鋲を踏んづけても気が付かない方もいます!

できた傷が治らないのには必ず原因があり、下肢動脈の血流障害もその一つです。それでは次回はもう少し重症下肢虚血の話をさせていただきたいと思います。

一宮西病院 循環器内科 医長 市橋 敬(いちはし けい)