第6回 一宮西病院WEB公開講座 『心臓血管病から身を守るために』

第6回 一宮西病院WEB公開講座健康寿命をのばすために~
テーマ:心臓血管病から身を守るために
講 師:一宮西病院 循環器内科 部長 寺本 智彦 医師

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心臓に栄養を送る冠動脈 “詰まる病気”と“狭くなる病気”

皆さん、冠動脈ってご存知でしょうか。心臓の筋肉に栄養を送る血管のことで、1本の右冠動脈と2本の左冠動脈(前に走る左前下行枝、背中側に走る左回旋枝)からなっています。私たちの心臓は冠動脈から血液をもらいながら、1日約10万回動いています。3本の冠動脈のどこかが詰まり、その先へ血液が流れなくなって心臓の筋肉が壊死してしまう病気を「心筋梗塞」と言い、血液は流れているけれど血管に狭いところがある病気を「狭心症」と言います。狭心症は、その原因によって大きく2つに分けることができます。1つは動脈硬化性の狭心症。血管にプラークというコレステロールの塊のようなものが溜まることで起こる狭心症です。もう1つは、冠攣縮性狭心症という心臓の血管が痙攣する狭心症です。血管にプラークが溜まる動脈硬化が少しだけあり、そこが何かの拍子にピクピクと痙攣することで起こります。日本人に多く、早朝に起こるのが特徴です。体が動いているときだけでなく、安静時に起こる狭心症もあるということです。

無視できないめまいや肩こり 安静時の症状にも要注意

動脈硬化狭心症は、次のような典型的な症状があります。働き盛りの方が毎朝15分ほど駅まで歩いて通勤しています。駅に着いて階段を上がり、ホームまで行って電車に乗ると、胸が重苦しいような、締め付けられているような、上から何かを乗せられているような重い感じがします。休むと良くなりますが、再現性をもってそういった症状があります。ほかにも、毎朝10分ほど犬の散歩をしていると何となく胸が締め付けられる感じがするなど、体を動かすと症状があるのが動脈硬化狭心症の特徴です。心臓の筋肉にうまく血液が流れないため、胸の痛みや苦しさといった症状が出るのです。一方、冠攣縮性狭心症のほうは朝方に起きることが多く、寝ているときに胸がグーッと締め付けられるような感じがあり、歯茎がグーッと持ち上がるような痛みがあります。体が起きて動き出すときにいろいろなホルモンが出て、それに反応して血管が痙攣するのです。胸の症状のほかに、無視できない狭心症心筋梗塞の症状があります。1つはめまい。心筋梗塞を起こすと脈がゆっくりになり、めまいを起こしたり意識を失ったりします。もう1つは胃の症状。胃カメラの検査では問題がなかったのに、食べると胃もたれを感じるという方もいらっしゃいます。そして、肩こり。胸の症状は強くないが肩こりがひどいという方が、実は心筋梗塞狭心症の前触れだったということもあります。

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動脈硬化は心臓血管病のもと 10カ条とは逆の生活を

動脈硬化性の狭心症心筋梗塞の原因は動脈硬化です。次の状態に当てはまる方は、動脈硬化が進みやすいので注意が必要です。糖尿病がある、高血圧、コレステロール(LDLコレステロール)が高い、肥満、過去に脳血管の病気をしたことがある、タバコを吸う、動脈硬化の家族歴がある、などが該当します。では、どうすれば動脈硬化を予防できるのでしょうか。そのヒントとして「亭主を早死にさせる10カ条」というアメリカのブラックジョークがあるのでご紹介します。

これをすると心臓が危ない10カ条
①夫を太らせなさい(25㎏太らせると10年寿命が縮む)
②酒をうんと飲ませなさい
③いつも運動させないで座らせておきなさい
④脂、特に天然のバターを食べさせなさい
⑤塩分の多い食べ物に慣れさせなさい
⑥砂糖など甘いものをたくさん食べさせ、ミルクと砂糖をたっぷり入れたコーヒーをがぶがぶ飲ませなさい(ブラックであれば1日2杯まではOK)
⑦タバコを勧めなさい
⑧夜更かしをさせなさい(テレビの深夜放送を見て、パーティをときどきやる)
⑨休暇旅行には行かせない
⑩最後の仕上げは終始文句をいっていじめなさい(これにはお金と子どもの文句が一番良い)

こういう生活をすると動脈硬化になってしまうので、逆の生活を心がけましょうということです。

まずは簡便な検査から 早期発見・治療が肝心

もしこの10カ条を守れなかった場合、まずは2つの検査を受けることをおすすめします。1つは頸動脈エコー検査。頸動脈に動脈硬化があれば、心臓の血管にも動脈硬化がある可能性が考えられるので、それを調べます。もう1つはABI検査。足の血圧と腕の血圧を測って血管年齢を調べることで、動脈硬化の程度などがわかります。こうした簡便な検査は保険診療で受けることができます。また、より詳しく心臓の血管を調べるには、エコー・ABI・心臓CT・血液検査がセットになった心臓血管スクリーニング検査がおすすめです。先ほど挙げた動脈硬化の危険因子のある方は、一度こうした検査を受けられるといいと思います。私はよく外来の患者様に「80歳で心臓血管病が見つかっても悲観することはありません」とお話ししています。心臓血管病を早期発見し、しっかり治療していただけば、また通常どおりの元気な生活を送ることができるからです。最近はカテーテル治療が一般的になりつつあり、体への負担が少ない治療をすることができます。心臓血管病は早期発見、早期治療が何より肝心。胸の症状、めまいや胃のもたれ、肩こりなど気になる症状があれば、放っておかず早めに専門の医療機関を受診してください。

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連載企画 『これだけは知っておきたい!心臓の病気のお話』 第5回

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第5回 どのような人が狭心症心筋梗塞になりやすい?

前回、狭心症心筋梗塞といった冠動脈疾患(かんどうみゃくしっかん)についてお話しました。では、どのような人が冠動脈疾患になりやすいのでしょうか。

まず男性は女性の2~3倍、冠動脈疾患になりやすいと言われています。ただし70代以降の高齢者になってくると男女差はほとんどありません。次に加齢とともに冠動脈疾患のリスクは上がります。男性は45歳以上、女性は55歳以上になると冠動脈疾患のリスクが増え、70歳以降にピークを迎えます。逆に20代、30代の方が狭心症心筋梗塞を発症することは稀です。この男女差は女性ホルモン(エストロゲン)の影響が大きいと言われています。エストロゲンには動脈硬化を抑制する働きがあるため、閉経前の女性は冠動脈疾患にかかりにくいのです。また、これらの病気には家族歴も関係しています。両親や兄弟姉妹が狭心症心筋梗塞にかかったことがある方は、そうでない方に比べ2~3倍その方自身も狭心症心筋梗塞にかかりやすいと言われており、注意が必要です。このような、性別・年齢・家系などは防ぎようがありませんが予防できるリスクもあります。それは糖尿病・高血圧・高脂血症・タバコ・肥満です。

次回はこれらの5大リスクについて深く掘り下げてみたいと思います。

一宮西病院 循環器内科 医長 寺村 真範(てらむら まさのり)

放射線診断科・木口医師が、北米放射線学会主催の画像診断コンテストで表彰されました

放射線診断科・医長、木口貴雄医師が、RSNA(北米放射線学会)発行の医学誌“Radiology”に掲載される画像診断コンテスト「Diagnosis Please」において年間最多正解数を獲得、「Diagnosis Please Award」を受賞しました。RSNA2017の会場でもパネルで紹介されました。

今年の受賞で木口医師は前人未到の4年連続Winnerとなりました。これを成し得たのは、世界の放射線診断医の中でも木口医師ただひとりです。当院の放射線診断が世界トップレベルであることを示すものです。

【概要】
■受賞者 : 木口貴雄.
■授与機関 : RSNA2017 2017 Diagnosis Please Award. 
■年月 : 2017年11月.

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画像とITの医療情報ポータルサイト「innavi net(インナビネット)」でも紹介されています。関連記事はこちらです。

www.innervision.co.jp

中日新聞広告局制作『ドクターQ&A vol.2 脳卒中について』が掲載されました

中日新聞広告局制作の新企画『ドクターQ&A』、vol.2のテーマは“脳卒中について”。12月16日(土)付の中日新聞尾張版に掲載されました。

【タイトル】
ドクターQ&A企画 vol.2~脳卒中について~
寒くなるこれからの時期は要注意!!
専門医に聞きました 脳卒中ってどんな病気?

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一宮市主催「ちょっと教えて在宅医療」が、一宮西病院で開催されました

在宅医療のニーズが高まる中、在宅医療のことが勉強できる講演会『ちょっと教えて在宅医療~住み慣れた家で療養するときのために~』が12月18日(月)、一宮西病院で開催されました。(主催:一宮市)。近隣にお住まいの方、当院へ通院されている患者さま、同じく当院へ入院されている患者さまとそのご家族さまなど、約70名の方に聴講いただきました。

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【開催概要】
■タイトル:ちょっと教えて在宅医療~住み慣れた家で療養するときのために~
■開催日時:平成29年12月18日(月) 14:00~15:30
■開催場所:一宮西病院(一宮市開明字平1) 3階・大会議室
■講演内容:
①医師の立場から(講師:一宮市医師会・理事 越野保一先生)
②医療相談員の立場から(講師:一宮西病院・医療福祉相談室・課長 谷藤陽子氏)
訪問看護師の立場から(講師:訪問看護ステーションやすらぎ・所長 長縄直子氏)

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たとえ医療が必要になっても、長く住み慣れた自宅で、医療を受けながら家族と一緒に過ごしたい…地域の皆さまのニーズがある限り、当法人は地域との連携を図りながら、皆さまの声に真摯に向かい合ってまいります。

連載企画 『これだけは知っておきたい!心臓の病気のお話』 第4回

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第4回 死亡率30%!恐ろしい病気、急性心筋梗塞

以前のコラムで、日本人の死因の第2位が「心臓病」というお話をしました。その心臓病で亡くなる方の半数以上が心筋梗塞だと言われています。

心筋梗塞は、心臓に栄養を送る冠動脈が動脈硬化で完全に詰まってしまい、心臓が壊死してしまうという命に関わる病気です。突然発症することが多いので「急性心筋梗塞」と呼ばれます。急性心筋梗塞では約3割の方が亡くなると言われていますが、亡くなる方の多くは、発症して1時間以内に病院にたどり着く前に亡くなってしまいます。逆に、急性心筋梗塞を発症しても病院に着くことができれば、死亡率は約7%にまで下がると言われています。

急性心筋梗塞は「突然の胸痛」で発症します。狭心症の症状が前兆となる場合もありますが、何の前触れもなく突然発症することの方が多いと言われています。狭心症のように「締め付けられるような胸の痛み」ですが、狭心症と違い安静にしても治まることはなく、我慢できない痛みのため多くの方は救急車で病院に運ばれてきます。冷や汗や嘔吐を伴うことも少なくありません。ただ、ご高齢の方や糖尿病をお持ちの方の場合、胸の痛みを感じにくく症状が典型的でない場合があり、気付かない間に心筋梗塞を起こしてしまっているという方もいますので注意が必要です。では、どのような方が心筋梗塞を起こしやすいのでしょうか?

次回は心筋梗塞を起こしやすい持病、リスクについて詳しくお話したいと思います。

一宮西病院 循環器内科 医長 寺村 真範(てらむら まさのり)

東海ラジオ「飛び込みマイク」で「リハカフェデイサービスあゆむ」が紹介されました

本日、東海ラジオ・午前のワイド番組『タクマ・神野のどーゆーふー』内の『飛び込みマイク』で、当法人福祉施設「リハカフェデイサービスあゆむ」が紹介されました。

リハカフェデイサービスあゆむ・生活相談員の青井正行が、レポートドライバーの早田明日香さんとの掛け合いで、あゆむの取り組みを紹介しました。

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■出演:社会医療法人杏嶺会 リハカフェデイサービスあゆむ 生活相談員 青井正行(あおいまさゆき)
■聞き手:東海ラジオレポートドライバー 早田明日香(はやたあすか)さん

(早田)まず、「リハカフェデイサービス」とはどのようなデイサービスなのか、教えてください。

(青井)はい、介護保険を利用した半日型のデイサービスで、午前と午後の2部制となっております。「リハカフェ」という名前の通り、「リハビリ」と「カフェ」を提供しております。また簡易的ではありますが、足浴やハンドケア等の「癒し」も提供しております。喫茶店にある様なドリンクメニューも取り揃えており、特にコーヒーは豆から挽いて提供しております。“本格的なコーヒーが味わえる”と、とても好評です!

(早田)では、「リハビリ」ではどう言った取り組みをされているのですか?

(青井)自治体で開催されている健康体操をイメージした「あゆむチャレンジ」と、小集団ながらも個別で行う「機能訓練」に取り組んで頂いております。

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(早田)ではこの「あゆむチャレンジ」と「機能訓練」について、具体的に教えてください。

(青井)「あゆむチャレンジ」には5種類の体操があり、日替わりで実施しております。一ヶ月のスケジュールを組み全身の筋力がトータルサポート出来る、当施設独自の体操です。「機能訓練」は、個々の希望や状態に応じ、理学療法士が希望に添った計画を作成し取り組んで頂いております。一人ひとりの能力や生活環境が違うので、それぞれの状況にあった訓練を取り組んで頂けるように努めております。

(早田)今も、機能訓練が行われている真っ最中なんですよね!その他にも、取り組んでいることがあれば教えてください。

(青井)カフェの機能を生かしたケーキバイキングや、機能訓練の一環で近隣の百貨店へ買い物にお出かけする等、生活に則した形でのイベントも定期的に行っております。

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(早田)では、年末にむけても何かイベントは行われるんですか?

(青井)はい。ご利用いただいている方々に、当法人のワーキングデイのご利用者さんが作成した来年の干支、戌の置物をご用意しております。

(早田)こういったイベントがあると、ここにくるのがより楽しみになりますよね!

(青井)そうですね!今年の10月に移転しリニューアルオープンした「あゆむ」では、当法人の『街と人が明るく健康でいられますように』という理念で、地域の方たちが明るく健康な生活が送れるように、また、地域貢献が出来、皆さまに笑顔で楽しくご利用頂ける様、努めてまいります!ご見学やご体験も出来ますので、お気軽にお越しください!

東海ラジオWEBサイト

◎リハカフェデイサービスあゆむサイト