CBCラジオ「健康のつボ~脳卒中について②~」 第3回(平成31年2月21日放送内容)

CBCラジオ「健康のつボ~脳卒中について②~」第3回(平成312月21放送内容) 
出演/つボイノリオさん(タレント)、小高直子さん(アナウンサー)、宮嵜章宏医師(一宮西病院 ストロークチーム・脳神経外科部長) 

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(小高)毎週この時間は「健康のつボ」です。日本人の死因の第3位となっている『脳卒中』について伺っております。ゲストは一宮西病院ストロークチーム・脳神経外科の部長、宮嵜章宏先生です。よろしくお願いします。

(宮嵜)よろしくお願いします。

(小高)先週、先々週と脳卒中の全体のお話を伺ってきましたが、今日からもうちょっと詳しく聞いていきたいと思っております。

(つボイ)いろんな話題を僕らの番組ではやるんですが、別のコーナーで前にいびきの話をしたときに、ペンネーム『ためになるやろか』さんから『今度また一宮西病院の先生が来たときに聞いてください』とメーッセージをいただきました。猛烈ないびきの件ですけれども、『いびきって周りの人に迷惑だっていうだけでは終わらん、なんか危険なものもあるんですか?』とのことです。

(小高)まず脳卒中にいびきは関係あるんですか?

(宮嵜)関係します。いびきが具体的にどういう風に出るかと言うと、気道という空気の通りが防がれることによって起こるものなんです。寝ている時、意識がない時に舌が落ち込んで空気の通り道を塞いでしまうといびきが起こります。つまり意識が障害されているような場合にいびきが出ることがあるんです。寝ている最中に脳卒中になった方で、いびきがおかしいということで気がつかれて救急搬送されたという場合があります。

(小高)よく「無呼吸症候群」でいびきが出るって言いますよね?

(宮嵜)いわゆる「睡眠時無呼吸症候群」がいびきの原因になって、日中の眠気と関係するということも言われてますが、「睡眠時無呼吸症候群」自体も脳卒中の原因にもなりうる・危険因子にもなるので、やっぱりいびきが脳卒中と関係していないとはいえないですね。

(つボイ)脳卒中になったときのいびきって、何か特徴はあるんでしょうか?

(宮嵜)普通のいびきと脳卒中のいびきが違うというわけではないです。今までそういうことはなかったのに、突然いびきをかくような場合には要注意ということになります。

(小高)すごく疲れていたらいびきが出るときもありますが、単なるいびきだと思わずに、脳卒中の可能性もあることってこと覚えておいた方がいいですね。さらに今日は、いろんな脳卒中の中でも脳梗塞について詳しくいただけますか?

(宮嵜)脳梗塞というのは脳卒中全体の中で言うと一番多くて、脳卒中の大体7割ぐらいが脳梗塞なんです。これは血管が詰まる病気で、血管が詰まってしまうと脳の障害が起こります。例えば、片方の手足の麻痺、急にろれつが回りにくくなる、言葉が喋れなくなる、歩くことができなくなる、場合によっては意識がなくなってしまう、というようなものです。

(つボイ)意識はなくなったらしょうがないでしょうけども、ろれつが回らなくなったり片方の手がおかしくなったりしたら自分で気付けますよね。

(宮嵜)そうですね。ただ実際に脳梗塞になって症状が出たとしても、心筋梗塞と違って、ものすごい痛みっていうのは少ないんです。

(小高)ここが大きな違いですね。

(宮嵜)そうなんです。なので様子見られる方が結構いらっしゃるんです。

(小高)「なんかちょっと変だな~・・・」「ん~~?」っていう感じなんですかね。

(宮嵜)そうなんですよ。本当は少しでも早く病院に来ていただきたいんですけれど、様子を見て時間が経ってから来られるという方もたくさんいらっしゃるのは事実です。

(小高)早く来て欲しいにも関わらず、自覚症状があっても“気になる”程度でおさまっちゃうんですね。

(つボイ)もっと言うならば、「我慢しよう」「日本人は我慢が大切だとだ!」とか思っている人もいるかもしれないよ。変な我慢しているとアカンですよ、ということですよね。

(宮嵜)そのような症状があった場合には、一刻も早く病院に来ていただきたい、というのがこちらの希望ですね。

(小高)さっき言った、ろれつが回らないとか片方の手足が動かなくなるとかがあったら、そんなに痛くなくても先生とこに駆け込んでみる、ということですね。

(宮嵜)突然起こることが多いですから、そういうような場合にはやはり一刻も早く受診していただきたい。

(つボイ)そもそも普段起こっていない事が起こったということは、何らかおかしいってことでしょうね。

(宮嵜)そうですね。

(小高)私たちはその症状に早く気づくことが大事なんですけれども、来週は『脳梗塞の治療法』にはどんなものがあるのかを詳しくお聞きしていきます。先生、来週もよろしくお願いいたします。

(宮嵜)よろしくお願いいたします。

(小高)一宮西病院の宮嵜章宏先生でした。「健康のつボ~脳卒中について~」でした。

 

◎第1回の放送内容はこちら

第11回 一宮西病院WEB公開講座 『前立腺がんのお話~早期発見で完治を目指す~』

第11回 一宮西病院WEB公開講座健康寿命をのばすために~
テーマ:前立腺がんのお話~早期発見で完治を目指す~
講 師:一宮西病院 泌尿器科部長 永田 大介 医師

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高齢化、食の欧米化により増え続ける前立腺がん

前立腺は、副腎、腎臓、精巣などと同じく泌尿器科の対象領域です。泌尿器科の疾患の中で、近年特に増えているのが、前立腺がんです。
前立腺は膀胱の下にある栗の実くらいの大きさの器官で、大きく中心領域、移行領域、辺縁領域という3つのゾーンに分類されますが、前立腺がんができるのは主に辺縁領域と呼ばれる被膜の部分です。前立腺がんと比較される疾患に、前立腺肥大症があります。前立腺がんは主に前立腺の辺縁領域(外腺)に発生するのに対し、前立腺肥大症は移行領域(内腺)が肥大する疾患です。尿道のすぐ近くにでき、尿道や膀胱を圧迫するため、尿が出にくい、尿の切れが悪いなどの症状が出現します。
前立腺がんは、初期段階ではほとんど自覚症状はありませんが、進行すると辺縁領域から尿道の方へ大きくなり、前立腺肥大症と同じような症状が現れるようになります。また骨やリンパ節へ転移することが多く、腰痛や背部痛などにより整形外科を受診した際にレントゲンを撮影し、影が見つかるというケースもあります。
前立腺がんの大きな特徴は、若年層の罹患率が極めて低いという点です。40代後半、主には50代以降から年齢を重ねるごとに患者数が増加します。2014年の統計によると、男性の部位別がん罹患数で前立線がんは4位。2020年には1位になるのではないかと予測されています。前立腺がん増加の背景としては高齢化、食生活の欧米化に加え、診断技術の進歩が挙げられます。診断技術が向上したことにより、早期のがんが発見されやすくなったのです。
罹患数の多い前立腺がんですが、死亡率は他部位のがんに比べて低いという統計が出ています。がんと診断された後、5年後の生存率を比較すると、治りにくいがんと言われるすい臓がんが7・9%であるのに対し、前立腺がんは97・5%。つまり、多くの方が罹患する危険性があるものの、早期に発見すれば非常に治癒しやすく、命を落とす恐れが少ないがんと言えるでしょう。

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PSA値の高さに比例して前立腺がんのリスクも上昇

前立腺がんを発見するための検査、診断の流れとしては、大きくスクリーニング検査、確定診断、病期診断というステップがあります。スクリーニング検査には、PSA検査と呼ばれる血液検査、経直腸的超音波(エコー)検査、MRIによる画像診断などがあります。中でも市民検診や企業検診、人間ドックなどで行われる一般的な検査がPSA検査です。PSA前立腺の特異なタンパク質の一種で、少量ずつ血液に流れ出ますが、PSA値が増えるほど前立腺がんの疑いが高まります。前立腺がんの重要な危険因子が年齢であるという点から、50歳を過ぎたらPSA検査をすることが推奨されています。
スクリーニング検査でがんの疑いがみられた場合、前立腺生検によって確定診断を行います。これは前立腺に針を刺して組織を採取し、がん細胞の有無や悪性度などを調べる検査です。
次に行うのが病期診断です。がんの転移や進行度を調べ、Ⅰ期からⅣ期、ステージAからステージDなどに分類します。治療法を選択する際の重要な情報源となります。CTやMRIなどによる画像診断の他、全身の骨を1枚のレントゲンに映し出し、骨への転移を調べる骨シンチグラフィーという検査も有効です。前立腺がんの転移先はおよそ85%が骨、38%がリンパ節で、比率的には低いものの、肺や肝臓に転移することもあります。前立腺がんの細胞は血液の流れにのって運ばれ、骨で栄養を吸収しながら悪性のがんへと成長し、肺や肝臓に転移していくため、骨転移への対処が鍵を握る病気なのです。

低侵襲の腹腔鏡下手術やホルモン療法などで治療

病期分類の結果を基に、治療へと進みます。基本的にⅠ期やⅡ期の中で、悪性度が低い限局性がんの場合は監視療法が中心です。PSA検査を3~6カ月に一度行い、値が上昇しない間は特に治療は行いません。
悪性度が高い場合や前立腺被膜外にがんが広がっている段階では、手術による外科治療、放射線治療、ホルモン療法などが選択肢になります。前立腺がんの手術では開腹手術に加え、体への負担が少ない腹腔鏡下手術が普及。腹腔鏡下手術は術後の痛みが軽度で、術後10日程度を目安に退院が可能になるため、早く社会復帰ができるなど多くの利点があります。またロボット支援法の導入など、技術革新も進んでいます。放射線療法では粒子線、光子線などの外部放射線療法、内部放射線療法の他、IMRT(強度変調放射線治療)という新しい照射方法も登場。腫瘍の形に応じて放射線が照射されるので、周囲の正常な組織への影響が少なく、副作用を抑えることができます。ホルモン療法は、他の治療法と併用されるケースも多く、前立腺がんは発生から増殖、成長にいたるまで男性ホルモンに依存するため、薬の服用や注射によって男性ホルモンを抑えることで、がんを餓死させていきます。
さらにリンパ節などへの転移が見られるケースでは、抗がん剤による化学療法も選択肢になります。

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予防の鍵は健康的な生活 定期的な検査で早期発見を

前立腺がんの予防策としては、質・量共に良い睡眠をとる、揚げ物をできるだけ食べない、禁煙、ストレスをためない、お酒は適量を心掛ける、適度な運動など、健康的な生活を送ることが大前提。その他に前立腺がんの特性に応じた対策として、大豆製品(イソフラボン)やトマト(リコピン)を積極的に摂取する、排尿時の違和感を見逃さないようにするという点にも留意が必要です。
さらに自覚症状がない前立腺がんにとって重要なことは、定期的にPSA検査を受けることです。早期発見をすることで治療の選択肢が広がり、治癒できる確率が格段に高まります。50歳を過ぎたら、ぜひ定期的にPSA検査を受診しましょう。

◎一宮西病院 泌尿器科WEBサイトはこちら。
https://www.anzu.or.jp/ichinomiyanishi/surgery/urinary/

◎特集インタビュー「早期発見で治療の幅が広がる! 前立腺がん6つのポイント」はこちら。
https://www.anzu.or.jp/ichinomiyanishi/special/special_interview/12/

◎永田大介医師紹介ムービー(関連記事)はこちら。

 

CBCラジオ「健康のつボ~脳卒中について②~」 第2回(平成31年2月14日放送内容)

CBCラジオ「健康のつボ~脳卒中について②~」第2回(平成31年2月14放送内容) 
出演/つボイノリオさん(タレント)、小高直子さん(アナウンサー)、宮嵜章宏医師(一宮西病院 ストロークチーム・脳神経外科部長) 

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(小高)先週からこの時間は、日本人の死因第3位となっている脳卒中について伺っています。ゲストは一宮西病院ストロークチーム・脳神経外科の部長、宮嵜章宏先生です。こんにちは!

(宮嵜)よろしくお願いします。

(つボイ)脳卒中は恐ろしい病気で、先週は色々な要因を教えてもらいました。高血圧や喫煙とかがあると、脳卒中になりやすくなるらしい、ということでした。

(小高)そして脳卒中にも色々な種類があって、血管が詰まる『脳梗塞』、血管が破れる『脳出血』、また『くも膜下出血』といったものがあると教えていただきました。

(つボイ)それぞれどんな処置・治療が行われるんですか?

(宮嵜)そうですね。脳卒中の種類別で変わってきますが、血管が詰まる脳梗塞の場合は、血管を通すような点滴治療やカテーテルを通す方法があります。

(つボイ)私も心筋梗塞で血管が詰まったときには、カテーテル治療でした。

(宮嵜)そうですね。心筋梗塞脳梗塞も、いずれも血管が詰まる病気ですからね。それから、脳出血を起こした場合は出血を取り除くような外科的な手術が必要になる場合もあります。また、くも膜下出血はほとんどの場合の原因は動脈瘤というコブが破裂するものなので、カテーテルで血管の動脈のコブを詰めてしまう方法と、開頭手術という計画的な手術で根本的にクリップで止めてしまうという方法があります。

(小高)手術と、お薬と、カテーテルと、治療法は色々あるんですね。先生は脳神経外科の部長で、『ストロークチーム』でもいらっしゃいますよね。

(つボイ)これは前回に習いましたね。ストロークというのは、脳卒中のことでしたね。

(小高)要は”脳卒中のチーム”ということですが、どんな方たちがいらっしゃるんですか?

(宮嵜)はい。ストロークチームには、先ほど申し上げた外科的治療・内科的治療に関わる人がいます。まず、脳神経内科の先生と僕ら脳神経外科の先生、他にももちろん看護師さん、リハビリのスタッフ、薬剤師、栄養士、歯科衛生士、ソーシャルワーカーなどの方々がいらっしゃいます。

(つボイ)歯科衛生士もいるっていうのがビックリしました。

(小高)歯って関係あるんだ~。

(宮嵜)そうですね。脳卒中の治療では、もちろん脳卒中そのものの治療だけでなく、「合併症を起こさないようにする」「後遺症をなるべく少なくする」こともとても大切です。患者さんが自宅に復帰していただくためには、色んな職種の方々とチームで対応する必要があるんです。ストロークチームを組むとこによって皆の色んな力を合わせて、少しでも良くなっていただくというのが目的です。

(小高)私たちの『チームを組む』というイメージは、歌合戦とか運動会とかのイメージでしたけれど。

(つボイ)なんでよ!野球でもチームを組んで、ピッチャーがいて、ファーストやセカンドがいてね。

(宮嵜)それぞれの役割が大事ですよね。

(小高)チームで飲み会とかいったりするんですか?

(つボイ)なにを聞いてるの!

(小高)いや、気になっちゃって・・・。でも忙しいですもんね。

(宮嵜)やはりチームで話し合いの場はとても大事なので、コミュニケーションを非常に大事にしています。

(小高)じゃあ普段から色々コミュニケーションを密にとっているんですね。

(宮嵜)もちろん!個々の患者さんに応じて、チームでの話し合いは常に行われています。

(小高)昔はこういう『チームで行う』というのはあまり無かったんですか?

(宮嵜)そうですね。外科と内科が別々ということが多かったですが、今では本当にチームの力を実感しています。

(つボイ)そういう全部の力を合わせて、僕らの病気と向かいあっていただいているんですね。

(小高)総結集で治してくれる、ということですね。頼もしいですね!先生には来週も色々と伺っていきますので、よろしくお願いいたします。

(宮嵜)よろしくお願い致します。

(小高)一宮西病院の宮嵜章宏先生でした。「健康のつボ~脳卒中について~」でした。

 

◎第1回の放送内容はこちら


第8回 杏嶺会リハビリテーション科報告会が開催されました

当法人リハビリテーション科では、毎年全スタッフが集結して報告会を開催しています。今年も2/15(金)に一宮木曽川文化会館をお借りして、各施設・事業所から様々な発表・報告がありました。

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急性期の施設からは、痙縮治療、がんリハビリ、妊産婦リハビリ等、新しい取り組みが報告されました。回復期の施設からは、最新機器を導入した活動報告や評価データの推移が報告されました。維持期の施設からは、回復期との連携の工夫や、維持期の患者様のADL・QOLをどのようにあげるのかといった取り組みが報告されました。

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 法人内の急性期から維持期までさまざまな活動を知ることができるこの報告会は今年で8回目となりましたが、毎年新しい発見があります。この報告会の発表で互いの情報を知り、更に切磋琢磨していきたいと思います。

尾西記念病院 リハビリテーション

 

医療業界誌『医事業務』におきまして、当院の取り組みが紹介されました

医療業界誌『医事業務』(株式会社産労総合研究所)2019年1月1日・15日合併号の特集ページにおきまして、当院の取り組みが紹介されました。

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■媒体名:医事業務(産労総合研究所)
■号数・頁:No553 2019.1.1/15; pp36-39
■掲載面:【特集】労務管理と人材育成
■タイトル:インナーモチベーション向上にSNSを活用
※以下に掲載記事を公開します。産労総合研究所附属医療経営情報研究所様の許諾をいただいております。

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CBCラジオ「健康のつボ~脳卒中について②~」 第1回(平成31年2月7日放送内容)

CBCラジオ「健康のつボ~脳卒中について②~」第1回(平成31年2月7放送内容) 
出演/つボイノリオさん(タレント)、小高直子さん(アナウンサー)、宮嵜章宏医師(一宮西病院 ストロークチーム・脳神経外科部長) 

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(小高)先週までこのコーナーは心臓病のお話をしておりましたけれども、今日からはその心臓病と同じく恐ろしい病気で、日本人の死因の第3位となっている『脳卒中』についてのお話です。脳のことはもうおなじみの、この先生に伺ってまいります。ゲストは一宮西病院ストロークチーム・脳神経外科の部長、宮嵜章宏先生です。お久しぶりです!

(宮嵜)お久しぶりです。よろしくお願いいたします。

(小高)本題に入る前に、去年に脳卒中の話を先生に伺った時には「脳卒中は日本人の死因第4位」と言っていたんですが、今日は死因第3位になっているんですけれど・・・。

(宮嵜)これは、以前は肺炎が第3位だったんですが、その肺炎が「誤嚥性肺炎」と「肺炎」に分類が分かれまして、それに伴って脳卒中が3位ということになりました。なので、脳卒中の実績は以前と変わらないです。

(小高)数が云々・・・というわけではないんですね。脳卒中がえらい増えたのかと思いました。

(宮嵜)そういうわけではないです。

(つボイ)それは安心しました。

(小高)とはいえ、まだまだ順位としては高い方ですからね。

(つボイ)やっぱり皆さんも脳卒中については興味がおありのようで、リスナーさんからも色々お便りをいただいております。ペンネーム『ラジオダイソー』さん、そして『シマサゲンタ』さんからです。去年、茅ヶ崎市の市長さんが公務中に脳出血で亡くなられた、というのが皆さん気になっているようです。

(小高)そうそう!そういえば去年の春には、京都府舞鶴市の市長が土俵の上で倒れた事件がありました。あれも脳の関係でしたよね。

(つボイ)あれは「くも膜下出血」と聞いています。一命を取り留めて公務に戻っていらっしゃるそうです。

(宮嵜)そうですね。土俵の上で女性の方が救命処置をされて、それが功を奏したそうです。

(小高)そのときは、土俵に女性が上がるのはどうだこうだ・・・といわれていましたが、早く上がって良かったですね。

(つボイ)医学的にはあれは正しい処置だったってことですよね。

(宮嵜)あれは素晴らしい処置だったと思います。

(小高)やっぱり早い処置が大切ということですね。

(宮嵜)おっしゃる通りです。

(小高)今週は、改めて脳卒中のお勉強です。日本人の死因の、今は第3位!

(宮嵜)そうですね。皆さんご存知だとは思うんですが、脳卒中は死者は減少傾向ではありますけれど、寝たきりになったり、重い後遺症が残ったりする方がたくさんいらっしゃいます。まず脳卒中というものは、脳の血管が詰まったり破れたりして起こる病気です。大きく3つの種類に分けられます。血管が詰まる『脳梗塞』、血管が破れる『脳出血』、突然死の原因となる『くも膜下出血』。このほかに、一時的に症状が出る一過性の『脳虚血発作』などがあります。原因はほとんどの場合が高血圧や糖尿病、脂質の異常症、喫煙、不整脈が大きく関係しています。

(つボイ)この二人はいつも引っかかっていますね。私は高血圧、あなたは不整脈

(小高)そうですね。いま先生がおっしゃったリスク因子には、日本人はかなりの割合で心当たりがあるんじゃないでしょうか。だから死因の順位としても高くなっているわけですよね。

(宮嵜)そうですね。

(小高)そうはいっても脳卒中になりたくないので、来週からはさらに詳しく先生に伺ってまいりたいと思います。私たちも、今からでもなんとかなりますかね?

(宮嵜)はい。脳卒中は予防が一番大事ですので、それをぜひ皆さんにもお伝えしたいと考えています。

(小高)ぜひ、具体的な予防法も含めて教えてもらいましょう。

(つボイ)私たちはこの番組で色んなことを喋っていますが、“命に関わる”ということから考えるとこのコーナーが一番すごいですよ。

(小高)重要なコーナーですね。私たちパーソナリティ2人も、ものすごい真剣に聞いていますから。

(つボイ)やや関係者ですから!

(小高)ぜひ皆さんも一緒にお勉強していきましょう。一宮西病院の宮嵜章宏先生でした。『健康のつボ~脳卒中について~』でした。

 

 

 

CBCラジオ「健康のつボ~心臓病について②~」 最終回(平成31年1月31日放送内容)

CBCラジオ「健康のつボ~心臓病について②~」最終回平成31年1月31放送内容) 
出演/つボイノリオさん(タレント)、小高直子さん(アナウンサー)、菊地慶太医師(一宮西病院・ハートセンターセンター長

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(小高)日本人の死因の第2位となっている心臓病について教えていただく、心臓病シリーズの第2弾です。ゲストは一宮西病院のハートセンター・センター長で心臓血管外科統括部長の菊地慶太先生です。こんにちは!

(菊地)こんにちは。よろしくお願いします。

(つボイ)いろんなお便りを頂いておりまして、例えば今日は、ペンネーム『馬の耳に大仏』さんという三重県の方からです。『11月末ぐらいから時々胸が苦しくなります。しばしじっとしていれば2~3分で治まります。始めは1日か2日に1回ぐらいだったので気にも留めませんでしたが、最近は1日に2~3回、特に午前中10時ぐらいまでに胸がキューっとなります。血圧を測ると少々高めなこともあってやや不安になってきました。放っておいても大丈夫でしょうか?病院に行った方が良いのでしょうか?』ということですが・・・。

(菊地)これはすぐに病院に行っていただきたいと思います。

(つボイ)これは身体の“信号”ですよね!

(菊地)そうですね。黄色信号が出ておりますので、きちんと専門医のところに行って診断をつけるというのがとても大切です。

(小高)病院に行って、なんともなかったらそれで良いですもんね。

(つボイ)安心ですからね。

(小高)それに先生が先週に「ストレスも心臓に悪い」って言っていたから、なんでもないのに心配でストレスだけかかっていたら逆に悪くなっちゃう。

(つボイ)クヨクヨクヨクヨしていたら、ひょっとしたらそこから悪くなっちゃうかもしれないですし。

(菊地)おっしゃる通りです。

(小高)これは病院に行ったほうがいいです。

(つボイ)あと、こちらのお便りはちょっと先生の分野とは違うかも知れませんが、長久手市ペンネーム『還暦少年』さんからです。『年末年始は久しぶりにゆっくりできてテレビ三昧でした。ある健康番組を見ていて気がついたのですが、私はきっと下肢静脈瘤です。足首あたりを中心に「クモの巣状静脈瘤」になっております。テレビでは心配することはない、と言っていましたが、足は“第二の心臓”とも言いますので、本当に放っておいて大丈夫なんでしょうか?心配ですけれども』ということです。

(小高) “第二の心臓”だから、先生に聞いているんですね。

(菊地)基本的には、「クモの巣状静脈瘤」の方は意外といらっしゃいます。命に関わるような重大な病気でないことは確かですから、放っていても大丈夫であるといえば大丈夫です。しかし、他にも何か足の静脈瘤があったり、腫れていて夕方になると張って痛いなどの症状が出てくる方もいらっしゃいます。気になる方は、これも最近ではレーザーなどで非常に簡単に治りますので、一度専門医を受診していただくのがいいかもしれません。

(つボイ)これは何科に行けば良いんですか?

(菊地)はい。このような静脈瘤も血管外科で良いと思います。一宮市病院でも、心臓血管外科でもこの治療は行っています。

(つボイ)というわけで、先生には心臓病について色々とお話を伺いって来ましたが・・・。

(小高)実は、今回の菊地先生のシリーズは、今日が最終週となります。

(つボイ)あっという間ですね。ということは、ちょっとまとめ的にお話を伺いたいなと思います。前回には「生活習慣病」、ここから病気が始まってくるんだ、というお話がありました。

(小高)そして、気になる症状があったらなるべく早めに専門家に見てもらう、と。

(つボイ)さっきの方のお便りなんかそうですよね。こういうことがあったらキチンと対処したほうがよろしいですよね。

(菊地)そうですね。怖いから目を閉じて見ないにするのではなくて、きちんと診断をつけてもらう。診断をつけて、その先に治療が必要なのか、治療がいらないのかということをハッキリ明確にしたほうが安全です。

(小高)そして菊地先生は、ハートセンターでチームを組んでやってらっしゃるということを、時々このコーナーでもおっしゃっていただきましたね。

(菊地)はい。やはり外科医だけでは、また内科医だけでは不十分なんですね。患者さんの治る力を最大限引き出せるような治療を、内科医と外科医・麻酔科医らがチームを作って力を合わせて治療していくことがとても大事になります。

(小高)「この患者さんは内科だね」「この患者さんは外科で手術だね」というのもありえますし、何でしたっけ?一緒に・・・。

(菊地)ハイブリッド治療ですね。今の治療は『皆さんの負担が少なく、なおかつちゃんと長く治す』というものが主流になってきています。そうすると、内科医だけ、外科医だけではなく、それらの良い所を組み合わせた“ハイブリッド治療”というものが、循環器の医療の中ではだんだん主流になると考えられます。チームで、皆さんのために、ハイブリッド・組み合わせた治療で、さらに長く良くなるような治療を目指していくというのが一番大切じゃないかと思います。

(小高)だから、チームでやるということが大事になってくるんですね。色々とお話を伺いました。先生、どうもありがとうございました!

(菊地)ありがとうございました。

(小高)一宮西病院の菊地慶太先生でした。また是非いらしてください。

(つボイ)近くにいていただけるだけでとても安心ですもんね。

(小高)そして、来週からは一宮西病院の脳神経外科部長・宮嵜章宏先生に、「脳卒中」についてのお話を伺っていきます。脳に関する病気の質問がある方はこのコーナーまでメッセージをお寄せください。宮嵜先生に答えていただきます。

(つボイ)質問、お待ちいたしております。

(小高)「健康のつボ~心臓病について~」でした。

 

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