警報レベルを超えた大流行!ノロウイルス感染症について

今、全国で猛威を振るう感染性胃腸炎。予防や感染経路、罹ったときの対応などの“正しい知識”を、一宮西病院・感染対策室の長瀬仁師長に伺いました。

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流行状況は?

ノロウイルスなどによる感染性胃腸炎が猛威を振るっています。国立感染症研究所が12月27日に公表した全国の1医療機関当たりの患者数は、「警報レベル」の20人を超え、現在の集計法になった1999年以降では2006年に次ぐ大流行になっています。遺伝子が変化したタイプ(変異型)の広がりが一因とされています。

感染するパターンは?

①学校や職場などで汚染した環境(共有する物、特にトイレ)に触れる

②手洗いが不十分である

③その手でご飯を食べる

以上のように、集団や家庭などの生活している環境においてノロウイルスが発生した場合、気づかない内にノロウイルスに感染した人のふん便や吐ぶつから二次感染します。「ヒト→ヒト」や「モノ→ヒト」からの接触感染や飛沫感染を予防する必要があります。

予防は手洗い!

感染予防は、手指に付着しているノロウイルスを減らすことが最も有効な方法です。 調理を行う前、食事の前、トイレに行った後、下痢等の患者の汚物処理やオムツ交換等を行った後(手袋をして直接触れないようにしていても)には必ず手を洗ってください。常に爪を短く切って、指輪等をはずし、石けんを十分泡立てて洗います。すすぎは温水による流水で十分に行い、清潔なタオル(共有はしない)又はペーパータオルで拭きます。石けん自体にはノロウイルスを直接失活化する効果はありませんが、手の脂肪等の汚れを落とすことにより、ウイルスを手指から剥がれやすくする効果があります。

もし感染したら?

主症状は嘔気、嘔吐及び下痢です。発熱はないわけではありませんが、その頻度は低く、あまり高熱とはならないことが一般的です。小児では嘔吐が多く、成人では下痢が多いことも特徴の1つです。嘔吐・下痢は1日数回からひどい時には10回以上の時もあります。症状回復後でも1週間程度、長い場合は1か月に渡ってふん便中にウイルスが排泄されるといわれています。また、発病することなく無症状病原体保有者で終わる場合もあります。いずれにせよ、流行期間中は知らない間に感染源となってしまう場合がありますから、感染した人(疑いも含む)も石けんによる手洗いを徹底してください。