第25回日本乳癌学会総会にて、当院乳腺チームが6演題の発表を行いました

713日(木)から15日(土)の3日間、福岡で開催された日本の乳癌治療の最高権威である『第25回日本乳癌学会総会』に当院の乳腺チームが参加、医師4演題・看護師1演題・放射線技師1演題の合計6演題の発表を行いました。それぞれの発表内容は以下の通りですが、乳腺患者の初診時看護・画像診断・病理検査・手術・術後管理・教育のすべての分野に及んでおり、6演題全体として当院の乳腺診療に対する問題意識の高さを示すものです。

【発表演題一覧】
■岩本医師 : 乳管腺葉区域切除を実施した5例の検討.
■石川(衛)医師 : 乳癌術後にtoxic shock syndromeを発症したが救命しえた1例.
■森医師 : 乳腺超音波初期教育時における腫瘍性病変のカテゴリー分類の試み.
■小橋放射線技師 : CT検査により偶然乳癌が発見された8症例の検討.
■岩原看護師 : 乳房痛で外来受診する患者への客観的データにもとづいた看護サポート.
■近藤医師 : 乳房血腫として見つかった乳癌を局所麻酔下で切除したダウン症患者の1例.
■大久保医師 : OSNA法を用いた色素法単独センチネルリンパ節生検転移陽性例の検討.(丸茂病院との共同研究)

f:id:kyouryoukai:20170728133445j:plain発表数6例(共同研究も含めると7例)は、数の上では大学病院や乳腺専門病院に肩を並べることができるものであり、非常に誇らしく感じます。特に岩原看護師の発表は、過去5年間・219名の外来患者さんの主訴を詳細に分析したものであり、その内容は医師では見過ごされることの多い非乳癌患者の症状(乳房痛)の悩みに看護師として寄り添うものであって、患者の心理的な不安を軽減させ、患者満足度の向上に寄与することになるものと考えられます。一方で小橋放射線技師の発表は、過去5年間に外科乳腺科以外の他科でオーダーされたCT検査での他病検査中に偶然に発見された乳癌をまとめたもので、この乳癌が見逃されていたら病院として医療事故にもつながりかねない症例を未然に防ぎ、適切な乳癌の診断治療を実施した8症例の検討です。このデータを発表し院内外に周知させることにより、日々救急外来や内科でのCT検査撮影時の乳癌発見の注意を促すことになり、病院の診断レベル向上と医療安全に寄与するものであることは間違いないものです。

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当院での乳癌手術症例は、2007年には15例だったものが年々増加し、2016年には126例と著増、今後もその数は増加することが予想されます。しかしながら、乳癌をはじめとする悪性腫瘍の治療は、5年・10年・20年と歴史を積み重ねて患者データを分析していくことが重要であり、その点においてはまだまだ有名病院に及ばないこともこの学会に参加することで痛感させられました。今後は今回の発表の数を維持しつつ、その質的な向上をめざして、地道に日々の臨床に従事していくことを参加者全員で(もつ鍋を食べながら)誓い合いました。

一宮西病院 外科・乳腺外科 森 美樹(もり みき)