連載企画 『これだけは知っておきたい!心臓の病気のお話』 第5回

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第5回 どのような人が狭心症心筋梗塞になりやすい?

前回、狭心症心筋梗塞といった冠動脈疾患(かんどうみゃくしっかん)についてお話しました。では、どのような人が冠動脈疾患になりやすいのでしょうか。

まず男性は女性の2~3倍、冠動脈疾患になりやすいと言われています。ただし70代以降の高齢者になってくると男女差はほとんどありません。次に加齢とともに冠動脈疾患のリスクは上がります。男性は45歳以上、女性は55歳以上になると冠動脈疾患のリスクが増え、70歳以降にピークを迎えます。逆に20代、30代の方が狭心症心筋梗塞を発症することは稀です。この男女差は女性ホルモン(エストロゲン)の影響が大きいと言われています。エストロゲンには動脈硬化を抑制する働きがあるため、閉経前の女性は冠動脈疾患にかかりにくいのです。また、これらの病気には家族歴も関係しています。両親や兄弟姉妹が狭心症心筋梗塞にかかったことがある方は、そうでない方に比べ2~3倍その方自身も狭心症心筋梗塞にかかりやすいと言われており、注意が必要です。このような、性別・年齢・家系などは防ぎようがありませんが予防できるリスクもあります。それは糖尿病・高血圧・高脂血症・タバコ・肥満です。

次回はこれらの5大リスクについて深く掘り下げてみたいと思います。

一宮西病院 循環器内科 医長 寺村 真範(てらむら まさのり)