連載企画 『これだけは知っておきたい!心臓の病気のお話』 第8回

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第8回 心臓病と足の関係とは?

今回は、心臓病と足の関係についてお話したいと思います。心臓病のコラムなのに突然足の話?と不思議に思われるかもしれませんが、心臓病と足には密接な関係があるのです。狭心症心筋梗塞は、心臓に栄養を送る冠動脈が「動脈硬化」で狭くなったり詰まったりする病気であることは以前お話しました。動脈は心臓だけでなく全身にありますので、動脈硬化は全身の動脈に起こり得るのです。動脈硬化が命に関わる臓器としては「心臓」や「脳」が大事ですが、「足」の動脈硬化も見逃せません。狭心症心筋梗塞の方の約40%に足の動脈硬化が見られたという統計もあります。足の動脈硬化で起こる病気を「閉塞性動脈硬化症(へいそくせいどうみゃくこうかしょう)」といって、“しばらく歩くとふくらはぎが痛くなる”、“足がだるくて前よりも歩けなくなった”という「跛行(はこう)」という症状を訴え来院されます。さらに血流が悪くなると「重症下肢虚血(じゅうしょうかしきょけつ)」といって、足の指の色が悪くなったり壊死したりして切断が必要になる方もいます。このような足の動脈硬化を調べる検査として「ABI(エービーアイ)」があります。ABIは両腕、両足の血圧を測定しその差を見ることで、足の動脈硬化を5分程度で簡単に調べることができる検査です。外来で気軽にご相談ください。

一宮西病院 循環器内科 医長 寺村 真範(てらむら まさのり)