CBCラジオ「健康のつボ~心臓病について③~」 第6回(令和元年5月8日放送内容)

CBCラジオ「健康のつボ~心臓病について③~」第6回(令和元年5月8放送内容) 
出演/つボイノリオさん(タレント)、小高直子さん(アナウンサー)、寺本智彦医師(一宮西病院循環器内科部長・ハートセンター副センター長)

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(小高)水曜日のこのコーナーは『健康のつボ~心臓病について~』。日本人の死因第2位の心臓病について専門の先生のお話を伺います。ゲストは一宮西病院・循環器内科部長でハートセンター副センター長の寺本智彦先生です。よろしくお願いします。

(寺本)よろしくお願いします。

(小高)先週は「心臓弁膜症」についてということで、弁膜症にも何種類かありますというお話を伺いました。

(つボイ)心臓には弁が4つあって、それぞれの弁がうまく働けなくなるのが「弁膜症」ということでしたね。

(小高)そして、どの弁がどう悪くなっているのかで種類が分けられていましたね。狭くなって血液の流れが悪くなっているのか、開閉がうまくいかなくなって血液が逆流しちゃったりするのかっていう、その組み合わせのいろんな症状があるよってことでした。

(寺本)おっしゃる通りですね。

(小高)この、血液の流れが悪くなったり逆流したりすると、どういう症状が出るんですか?

(寺本)そうですね。「大動脈弁狭窄症」を例に挙げます。心臓の左心室が収縮したり拡張したりして全身に血液を送っているんですが、通り道として「大動脈弁」を通って最終的に全身に血液が流れます。その大動脈弁のところが狭くなっておりますので、簡単に言うと、全身に血液が送られにくくなってしまいます。通り道が狭いわけですから。

(小高)血液がドンドンドン!と出るはずが、チョロチョロチョロ…となってしまうんですね。

(寺本)その通りです。なので、心臓は全身に血液を送っていますので、当然その通り道が狭くなってくれば脳に送る血液や他のいろんな臓器に送る血液が相対的に減ってしまいます。本当にひどくなってくると、「脳虚血」のような意識を失うということもでてきます。弁膜症の症状で、意外にも一過性の意識消失、つまり意識を失ったり脳貧血・脳虚血という症状も出てきたりします。

(小高)初期症状としては何かあるんですか?

(寺本)そうですね。「大動脈弁狭窄症」では初期症状はほとんど無い、といえます。逆にいうと、『症状が出てくるようになると相当重度だ』と僕らの世界では言われております。

(小高)よく、ちょっと動くと息が上がって動けなくなって、しばらく休んでまた歩いて、また動けなくなって・・・という症状も聞いたことあるんですが?

(寺本)それは、左心房と左心室の間にある「僧帽弁」の「逆流症」がひどくなってくると起こる症状です。1回送ったはずの血液がまた戻ってきますので、心臓にとっては積み上げた積み木をガチャンとくずされてまた詰め!と言われているようなもので、相当負担が強くなってきます。さらに、送ったはずの血液が戻ってきますので、左心房がどんどん大きくなってきちゃうんです。そうすると心臓全体にもどんどん負荷がかかってきて、最終的には心臓と繋がっている肺の血圧が上がってきてしまう「肺高血圧」という状態になって、これが息切れに繋がってきます。

(小高)これは、放っておくと大変なことになりますよね?

(寺本)そうですね。これがあまりにも重度になってくると、いろんなことを代償しようとして、心臓がどんどん大きくなってきちゃうんです。「大きいことはいい事だ」とは言いますけれど、心臓は大きいのはやっぱり良くないんです。心臓のスペースはある程度限られていますので、肥大しきれなくなると心臓の機能が全うしきれなくなって「心不全」状態になります。

(つボイ)それは、どうやって治したらいいんですか?

(寺本)心臓と身体は、車で言えば“エンジン”と“ボディ”です。エンジンが完全にガソリンを送れないような状態になっているので、「そういう車だったらどうしたらいいですか?」といわれれば、まずはボディを軽くする。つまり体重を落として、全身を循環する血液量を減らして、心臓の仕事量を減らします。例えば根本的な治療ではないですが、利尿剤を飲んでおしっこを出して、体重を軽くするなどの方法があります。

(小高)お薬による治療ということですね。

(つボイ)お薬で治せるときくと安心するんですが、手術とか色々あります。

(寺本)そうですね。本当にもう弁を取り替えなきゃいけないような場合は手術をお子合うこともあります。

(つボイ)それも最近は切り開いてどうのこうの・・・としなくてもいいんですよね?

(寺本)はい。カテーテル的に、胸を開けずにカテーテルで大動脈弁を取り替える方法があります。

(つボイ)私は当事者ですから、切り開かなくて手術ができるのはかなり安心できます。

(寺本)そうですね、やはり開胸手術ではなかなか体力が持たない高齢の方や、手術がちょっと難しい全身状態の方には、明るい話だと思います。

(小高)治療法もどんどん進歩していっていますね。今日もお話を伺いました。一宮西病院の寺本智彦先生でした。ありがとうございました。

(寺本)ありがとうございました。

(小高)リスナーの皆さんも、心臓病や脳卒中を中心に、健康に関する質問などありましたらこのコーナーはまでお寄せください。専門家の先生にお答えいただきます。新生活フロッピー、「健康のつボ~心臓病について~」でした。

 

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