連載企画 『足は第二の心臓です!?~循環器内科医が診る足病のはなし~』 第1回

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第1回 すべての動脈は心臓に通ず!?の巻

近頃、テレビや雑誌でよく「動脈硬化」という言葉に遭遇します。でもそもそも動脈ってなんでしょうか?手首の内側で親指の付け根を軽く触ってみてください。ドクドクとした脈が触れるでしょうか?皮膚より5㎜深いところにある太さ2㎜程の細い動脈、それは橈骨(トウコツ)動脈という名前で呼ばれています。「すべての道はローマに通ず」、すべての動脈は心臓に通ずるのです。私たち循環器内科医は、ここからカテーテルという1-2㎜の柔らかいチューブを入れて、心臓の治療を行います。手首以外ですと、足の付け根、首にも外から触れることができる動脈があります。それぞれ鼠径(そけい)動脈、頸(けい)動脈です。ドラマや映画で、倒れている人の首を触っているシーンがありますよね、あれは頸動脈に触れて拍動しているかどうかをみているのです。脈がなければ「すでにコトキレテイル!」なのです。さて問題ですが、心臓から出る動脈は何本あるでしょうか?答えは、実はたった1本「上大動脈(じょうだいどうみゃく)」だけなのです。そこから大木のように何本も何本も、頭のてっぺんから足のつま先の指まで枝を伸ばして血を送っているのです。動脈というのは全身にあるので、動脈硬化もやはり全身に起こりうる病気なのです。では次回は、動脈と動脈硬化のお話の続きをさせていただきます。

一宮西病院 循環器内科 医長 市橋 敬(いちはし けい)