CBCラジオ「健康のつボ~心臓病について③~」 第9回(令和元年5月29日放送内容)

CBCラジオ「健康のつボ~心臓病について③~」第9回(令和元年5月29放送内容) 
出演/つボイノリオさん(タレント)、小高直子さん(アナウンサー)、寺本智彦医師(一宮西病院循環器内科部長・ハートセンター副センター長)

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(小高)水曜日のこのコーナーは『健康のつボ~心臓病について~』。日本人の死因の第2位の心臓病について専門の先生にお話を伺います。ゲストは一宮西病院・循環器内科部長でハートセンター副センター長の寺本智彦先生です。よろしくお願いします。

(寺本)よろしくお願いします。

(小高)色々な心臓病について先生に伺っておりますが、今日は「心筋梗塞」ですよ!

(つボイ)はい、私は経験者でございますから!

(小高)そんな偉そうに言わんでもねぇ…。

(つボイ)不摂生をしたからこうなるんだから、偉そうにせんでええんですが。先生から、心筋梗塞とはどういう病気なのか説明をお願いします。

(寺本)狭心症」の場合は心臓に栄養を送る冠動脈が狭い状態なんですが、「心筋梗塞」は、例えば顔におできができていじっているとブチュッと潰れて中が飛び出してくることがあると思うんですが、それが血管の中で起きているような状態です。プラークという動脈硬化の塊みたいなものが破裂しちゃって、出てきたものが血液の流れを妨げてしまって、血栓と呼ばれる血の塊が出来てしまいます。

(つボイ)血管が詰まっちゃうということですか?

(寺本)その通りです。

(小高)詰まっちゃうとその先に血液がいきませんよね。

(寺本)はい。いかなくなっちゃうので、血液が流れなくなった部分の心臓の筋肉が壊死してしまう。なので血流が再開しても戻らないということになっちゃうんです。

(つボイ)ということは、早く詰まりを取らないといかんってことですか?

(寺本)おっしゃる通りです。詰まっていた時間が短ければ短いほど良いといわれております。

(小高)そういう意味では“緊急度が違う”と言うか、なんでもいいからとにかく急いで病院に行かなきゃいけないですね。

(寺本)そうですね。

(つボイ)そんな気持ちになるから大丈夫です!「あ~…詰まったな~…」ということじゃないです、絶対に!「とにかく病院に行こう!」という気持ちで、私の場合は病院に駆け込みました。

(小高)でも、病院に駆け込まなきゃいけないほどじゃない痛みの心筋梗塞というのもあるって聞きましたけど…。

(寺本)おっしゃる通りです。代表的なのはやっぱり糖尿病です。糖尿病は痛みの感覚・痛覚をちょっと麻痺させてしまうので、糖尿病のある方が心筋梗塞になったときは意外にひどい状況になっていても痛み、体のそのアラーム機構が働かなくなった方もいらっしゃいます。糖尿病のある方は自覚症状だけに頼るというのはちょっと危険なときがあります。

(小高)ただ、つボイさんのようにすごい痛みがあって病院に駆け込んでも、その時点ではもう壊死は始まっているってことですか?

(寺本)そうですね。つボイさんの心臓も血流が無かった時間はもちろんゼロではなかったと思います。

(つボイ)ちょこっとは壊死してるってことですね。

(寺本)少しだと思いますね。心電図を拝見させていただきましたけど、ほとんど心臓の筋肉は生きていると思います。

(小高)さっき隅っこのほうで何か見せてコソコソ喋っていたのはそれですか?

(つボイ)そういうことです。見てもらいましたわ。

(寺本)心筋梗塞を起こされたと分からないような心電図でした。

(つボイ)これも早めに病院に行ったのが良かったんでしょうね。私はカテーテルで治りましたけど、カテーテルはすごいですね。

(寺本)やっぱり先ほどから「時間が勝負」とお話させていただいているので、カテーテルの大きなメリットの一つは、時間が非常に早いという点が挙げられると思うんですね。一般的に、心筋梗塞の方が受けられるのに一番いい治療は、カテーテル治療だと思います。

(つボイ)私の場合はステントを入れたんですが、おそらく詰まった所を取って狭くなっていた血管をググッと広げて、血液が流れるようにしたんですよね。

(小高)ステントは、血管を広げるもののこと?

(寺本)そうです。僕が医者になったばかりの頃は、まだステントはそんなにいっぱい入れられていなくて、その頃は「血栓溶解療法」といって、カテーテルを入れて血栓を溶かすお薬を地道に30分ぐらいかけて注射していたんです。ただ血栓が溶けるときもあれば溶けずにそのまま詰まったまま終わることもあったんです。

(つボイ)溶けないときもある!?

(寺本)はい、そういう治療をずっとやっていたんですが、ある時期からガイドワイヤーという細い針金を通して風船で詰まっているところを広げる、風船療法で血流を再開させるという治療が始まりました。これが非常に良い治療なんですけれど、人間の生体の反応で、一回詰まっていた場所を広げても元に戻る作用が強いんです。修復機能が強いもので、また詰まっちゃうことが多かったんです。そこに出てきたのが、ステントです。これをやることで、「再狭窄」や「再閉塞」がすごく減ったんです。心筋梗塞の型の予後が劇的に改善しました。

(小高)いいねぇステント。

(つボイ)へ~。色んな治療がある中で、私は今ステントに生かされているということですね。

(小高)心筋梗塞は怖い病気なんですが、しっかり知識を持っていて症状や予防法も分かっていれば、ならずにも済むし治療もスムーズになるということですね。今日もお話を伺いました、一宮西病院の寺本智彦先生でした。ありがとうございました。

(寺本)ありがとうございました。

(小高)「健康のつボ~心臓病について~」でした。

 

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