CBCラジオ「健康のつボ~乳がんについて~」 第7回(令和3年8月18日放送内容)

CBCラジオ「健康のつボ~乳がんについて~」 第7回(令和3年8月18日放送内容)
出演/つボイノリオさん(タレント)、小高直子さん(アナウンサー)、鈴木瞳医師(一宮西病院 乳腺・内分泌外科 医長)

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(小高)今月からこの時間は『健康のつボ~乳がんについて~』です。女性であれば誰でも気になる「乳がん」について、一宮西病院 乳腺・内分泌外科 医長で「乳腺専門医」の鈴木瞳(すずきひとみ)先生にお話をうかがっていきます。

(小高)乳がんは、日本人の女性のがん患者の中で一番多いがんです。

(つボイ)いざ、となったらどんな治療法になるんでしょうか?

(小高)今日は、乳がんの治療法を教えていただきます。鈴木先生です。

 

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(鈴木)乳がんの治療は、手術や薬、放射線などを組み合わせて行います。治療方針の決定は、医者と患者さんがじっくり話し合うことが大切ですが、何より「標準的な治療」ができる医療機関で、「正しい診断と治療を受ける」ということが重要になってきます。乳がんの治療は、「局所治療としての手術」と「全身治療としてのお薬」が二本柱です。現代医学では、お薬だけで完全に乳がんを治すのは難しいので、基本的には手術が必要となってきます。

(つボイ)なるほど~。

(小高)以前、リスナーさんで、お母さまを乳がんで亡くされた方で、1970年代くらいだったのでその時手術は全摘しかなかったんですってお便りをいただいてご紹介したことがあるんですが、最近の手術はどうなってるんでしょうか?

(鈴木)はい、手術の基本は「悪いところをしっかり取る」ということです。現在は手術は大きく2種類の方法が確立されていて、一つ目は悪い所だけ取って悪くないところは残す「乳房温存手術」です。悪い所・・・つまりがんのある部分だけをくり抜いて、その周りの乳腺を寄せて、乳房の形を形成します。取る範囲にもよりますが、比較的小さな傷で見た目もキレイにできます。この温存術というのは1990年代から始まって、術後の生活の質を保つためにも非常にこの「乳房温存術」が増えていきまして、現在は全体の約6割の手術がこの温存術になっているかと思います。ただこの温存術の場合は、基本的に放射線治療というのをセットで行わないといけません。放射線治療のできる施設で、一定期間の通院が必要になってくるものです。がんの広がりによって、あるいは放射線治療の通院が難しいような場合は、温存療法ができませんので、そういった場合には乳房をすべて取る「乳房全切除術」というものになります。

(小高)そうすると、その患者さんのがんの状態や、いろいろな環境の問題で、どちらがいいかというのは患者さんと相談して決めていくと。

(鈴木)はい、そうなります。

(小高)ねえ、でも6割が温存手術って!ちょっと前までは「乳がん=全摘」っていうイメージがありましたけど、全摘ってなるともうショックでショックで・・・という方非常に多かったと思うんですけれども。残るなら希望を見出される方もいらっしゃると思いますね。

(鈴木)そうですね、乳頭を残せるような温存術というのが、患者さんからしても非常に満足度が高くなってきてるかなと思います。

(小高)手術の他には、どんな治療があるんでしょうか?

(鈴木)はい、乳がんでは先程お話させていただいたような局所治療としての手術が基本になりますが、「浸潤癌」として発見された時には、たとえ早期のがんであっても乳腺の外の血管やリンパ管を通って全身に「微小転移」と呼ばれるがん細胞の綿毛がフワフワ浮かんでいる状態と考えられます。なので手術の手が届かない全身に対してはもう1つの柱の、治療の鍵となる「薬物療法」を行います。「薬物療法」には、飲み薬のホルモン剤や、抗がん剤があります。抗がん剤治療は基本的に点滴の治療になって、どうしても「つらい」とか「髪の毛が抜けてしまう」などのイメージを持つかもしれませんが、乳がんというのは、非常に抗がん剤が効きやすくて、かつ副作用も少ないと言われていますので、ぜひ手術や薬物療法を怖がらずに正しい治療を受けていただきたいなと思います。

(つボイ)ふむふむ。

(鈴木)お仕事しながらでも治療を続けていかれる方も多いですし、抗がん剤治療と手術と比べると、手術の方がつらかったという方もいらっしゃいます。本当に人それぞれ副作用出方も違いますが、正しい標準治療を受けて頂ければしっかり治りますので。あまり恐れ過ぎずに皆さん受けれるかなと思います。

(小高)ね、やっぱり先生と相談して、一番自分にあった治療法でがんに臨む!というのが良いということで。

(つボイ)抗がん剤で抜けた髪の毛は、抗がん剤辞めたらまた生えてくるんでしょうか?

(鈴木)はい!戻ってきます!

(つボイ)よかった・・・!

(小高)ね、だから必要以上に怖がらないってことも大事なんですね。

(つボイ)はい。

  

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(つボイ)という事なんですね。いろいろな治療法があること、皆さんお分かりになられたかと思いますが!

(小高)早期に発見し、正しい診断で、正しい治療を行えば、決して怖いがんではない、ということです。来週はもうひとつの手術法、「乳房切除術」について教えていただきます!

(小高)『健康のつボ~乳がんについて~』でした。

 

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