CBCラジオ「健康のつボ~肺がんについて~」 第9回(令和5年3月8日放送内容)

CBCラジオ「健康のつボ~肺がんについて~」 第9(令和5年3月8日放送内容)
出演/つボイノリオさん(タレント)、小高直子さん(アナウンサー)、竹下正文医師(一宮西病院副院長 呼吸器内科部長)

(小高)「健康のつボ~肺がんについて~」。日本人の死因第1位の「がん」の中でも、死亡者数が一番多い「肺がん」について、一宮西病院副院長 呼吸器内科部長 竹下正文(たけしたまさふみ)先生に教えていただきます

(小高ここのところ、肺がんの治療法を教えて頂いています。

(つボイ)外科的療法、いわゆる手術では低侵襲の胸腔鏡手術がメインになってきているということです。

(小高そして放射線治療においても、ピンポイントで患部に照射できるようになるなど、治療に対する技術はどんどん進化しています。今日は、肺がん治療における『最新の薬物療法竹下先生に教えて頂きます。

 

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(竹下)手術とか放射線治療というのは、がんがある病巣部を手術では取る、放射線では当てる、という局所の治療になるんですよね。ただ薬物療法というのは、お薬を内服したり点滴で入れたりして、血流に乗って全身を巡って、散らばっているがん細胞の分裂と増殖を抑える治療になります。

(小高)薬物療法というのは、どんな目的で行われるんでしょうか?

(竹下)そうですね、お薬だけでがんを治すというのがまだまだ難しくて、お薬の目的っていうのは少しでも寿命を延ばすとか、がんで起こってくる症状を取ろうというのが20年前に言われていたお薬の目的なんですね。ただ最近はお薬も進歩していて、長期に生存できる、長期に効果を期待できる、という風に少しずつ変わってきているという現状です。

(つボイ)変化はしている。進歩はしていると!

(小高)例えば他のがんに比べて、お薬は種類もたくさんあるんですか?

(竹下)薬物療法に関しては、肺がんがこの20年間では一番進歩していると思ってます。

(つボイ)それは心強いなぁ!

(竹下)以前は抗がん剤と聞いたら、髪の毛が抜けるとか、ムカムカするというのが一般的な細胞障害性の抗がん剤と呼ばれるものしかなかったんですけれども、肺がんはそれに加えて「分子標的薬」というお薬や「免疫チェックポイント阻害剤」というお薬が増えてきています。

(小高)なんかまた難しい言葉が出てきました。ぶ、ぶんし??

(竹下)はい、「分子標的薬」といって、がんになる時に遺伝子の変化が起こってるんですね。いわゆる細胞の生殖とか生存に関わる遺伝子の変化が起こってがんができてしまうんですけど。その遺伝子の変化をターゲットとする、そこをブロックするお薬なので、かなり効果が期待できるんですよね。一方で副作用も少ないというのが分子標的薬の特徴です。

(つボイ)ええことばっかりやないですか。

(竹下)そうですね、0ではないんですけれども、副作用は軽くて、通常の点滴に比べると効果はすごく高いと言われています。

(小高)やっぱり点滴のような形で?

(竹下)点滴もあるんですけど、どちらかというと内服のお薬ですね。毎日飲み続けるような薬が中心となります。

(小高)それから後なんでしたっけ?

(竹下)もう一つは免疫療法ですね。これは本庶佑先生がノーベル賞を取って一躍有名になった

『オプジーポ』という免疫のお薬を使った治療がすごく今進歩しています。

(小高)オプジーポはわたしもニュースなんかでよく名前を聞きましたけど、結局のところ何をしてるお薬なんですか?

(竹下)これはですね、『免疫』ってなかなか難しいんですけど、皆さんが風邪ひいたり、コロナとか肺炎もそうなんですけど、体の中に自分のものでない異物が侵入した時に、『免疫』が排除するという機能が体の中に備わっているんですね。内因性で体の中からできているんですけどがん細胞も異物なので、本来は免疫細胞が倒すんですけど、そこをがん細胞がブロックする。免疫細胞を動けなくしてしまっているので、そこのブロックを外すのがこの免疫のお薬。そうすることで、もう一度免疫細胞が活性化して、それががん細胞をやっつける。免疫細胞はメモリーといって、一旦効果があると覚えてしまうので、長期で効果が期待できるケースがあります。

(つボイ)がん患者さんの様子によってこの薬、とか分けて使うんですか?

(竹下)最初にがん細胞の診断をつける時に、気管支鏡といってカメラでがん細胞を取ってくるんですけど、その取ったものでがんの診断だけじゃなくて、この患者さんにどういう薬が効きやすいのかという遺伝子の変化とか免疫が効きやすいタイプかどうかというのを調べれるんですね。

患者さんごとに合った治療をやっていくというのが、今の標準的な治療の流れになります。

 

 

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(つボイ)薬物療法の進歩で、ステージの高い患者さんの生存率も最近では高くなってきているとのことです。

(小高)20年前は、ステージⅣの方の5年生存率は3%程度だったそうですが、最近は薬の進歩で、20~30%になて来ているそうですよ。これは嬉しいですよね。来週も竹下先生にお聞きします。

(小高)さてこのコーナーでは、いろいろな病気について専門家の先生に解説していただいております。みなさんもテーマとして取り上げてほしい病気や症状などがありましたら、このコーナーまでお寄せください。専門の先生に教えていただきます。

(つボイ)質問、お待ちいたしております!!

(小高)『健康のつボ~肺がんについて~』でした。 

 

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