CBCラジオ「健康のつボ~肝胆膵の病気~」 第6回(令和6年11月6日放送内容)

CBCラジオ「健康のつボ~肝胆膵の病気~」 第6(令和6年11月6日放送内容)
出演/つボイノリオさん(タレント)、小高直子さん(アナウンサー)、矢田雅佳医師(一宮西病院 消化器内科 肝臓内科部長)

(小高)水曜日のこの時間は「健康のつボ!」。生命を維持するために重要な役割を果たしている「肝胆膵領域」の病気について、一宮西病院 消化器内科 肝臓内科部長の矢田雅佳先生に教えていただいています。

沈黙の臓器、肝臓の病気についてうかがっています。

(つボイ)「ウイルス性肝炎」とか「脂肪肝」とかね。そして、それらが進行すると、肝硬変ということになってくるというのを教えていただきました。

(小高)そして、肝臓の病気の中でやっぱりね、「がん」ここ気になりますよね。今日はその肝臓がんについて矢田先生に教えてもらいます。

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(矢田)肝臓がんっていうのはですね、一般的に肝臓から始まるがんの総称なんですね。そのうち肝細胞からできる「肝細胞がん」と、胆汁の流れる胆管の細胞から出る「管内胆管がん」というのがあります。基本的に90%ぐらいは肝細胞がんが占めているので、ここでいう肝臓がんは、肝細胞がんのことをお話ししたいと思います。

(小高)はい。その肝臓がんになる人というのはやっぱり多いんでしょうか。

(矢田)今はC型肝炎とかB型肝炎の薬が良くなって、一時期よりは数は減ってるんですけど、今でも1年間におよそ3万7000人ほどの方が発がんすると言われてます。そして、1年間に大体2万5000人の方が肝細胞がんで亡くなられています。

(小高)これは他の臓器のがんに比べると多いんですか?

(矢田)今は肝臓がんは死亡率1位の病気ではないんですけど、まだかなり上位の方にはありますね。

(小高)生存率みたいなのはどうですか?

(矢田)肝臓がんというのはやっぱりどうしても再発とか長い期間治療を繰り返していく病気なので、最近のデータで言うと、軽い方から重い方も含めてすべての肝臓がん患者さんの5年生存率は、およそ36%ぐらいと言われています。これが1番進行度の低いステージ1の人でも、5年生存率は大体60%程度です。

(つボイ)ステージ1だと安心するんですけども、60%という数字だとステージ1でも喜べないですね。

(矢田)肝臓がんのその他のがんとの大きな違いは、元々肝硬変とか障害のある肝臓にできる病気なので、がん自体がそれほど進んでいなくても、元の肝臓の機能が落ちすぎてて、そのために命を落とす方がおられるので、ステージ1でも60%の生存率ということで言えば、逆に40%の方は5年以内に亡くなっているということになるんですね。

(つボイ)ステージ1でも肝臓の働きが、機能が落ちている人は生存率も悪くなるということなんですね。

(矢田)肝臓がんで亡くなるというよりは、肝硬変の肝不全で亡くなってしまうんですね。

(小高)最初の症状である肝硬変が起こってから肝臓がんになることが多いけど、肝硬変の方がひどいと肝臓がんがまだ大きくならなくてもってことですか。

(矢田)そうですね。場合によっては、偶然見つかった時に、実はもうひどい肝硬変があることを患者さんが知らない場合もあります。同時に見つかっても、もうあなたの肝臓はこんなに悪いので、がんの治療がちょっと難しいですねということになって、ステージが軽い患者さんでも早く命を落とされることがあります。

(小高)ステージ1って言われたのに、何で治療してくれへんのや!という話になるけど、そういう状態になっているってことですね。

(矢田)そういうことですね。

この肝臓がんの治療法っていうのはどうなってるんですか?(小高)

先ほどもお話ししたように、肝臓がんの場合は肝機能との兼ね合いもあるので、それによってがんそのものの進行度と、その患者さんの肝機能によって治療法が選択されていきます。肝機能が良くて、切って全部取り切れる方であれば、もちろん手術が選択されます。それ以外にも、外から電極の針を刺して通電して焼く、ラジオ波焼灼療法というがんを焼き切る治療もあります。あとは血管の中にカテーテルを入れて、そこから薬物を投入したりとか、あと特殊な免疫療法、抗がん剤、それによる化学療法ですね。それはもう手術ができない場合で、かつ肝機能がいい場合に行われます。(矢田)

(小高)よくニュースで肝臓移植、肝移植って聞きますが。

日本においては、肝臓の進行度がある一定の基準を満たして、肝機能が悪い方が肝移植を受けられる対象者となっています。ですが、日本において生体肝移植は、身内の方から基本的に肝臓をもらって移植するので、特殊な大学病院とかでしかできませんし、そう簡単に受けられる治療ではないので、なかなか難しいです。(矢田)

ドナーさんは健康な体だけど、そこから肝臓をもらうってことになりますから、相当大変なお話ですよね。(小高)

(つボイ)ドナーにも負担は結構あるのではないですか?

(矢田)肝臓のかなりの部分をあげないといけないですし、仮にそのドナーになるべき方が、例えば脂肪肝だったり肝臓の病気だったら、ドナー不適合ということであげられないんですね。

(つボイ)はぁ~。

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(つボイ)ステージ1という初期のがんの場合でも、死亡率がそれなりに多いということは、肝臓がんそのもので亡くなるというよりも、肝臓の機能が落ちている時にがんになるということで、いわゆる肝不全を起こして亡くなるということなんでしょうかね。

(小高)そう考えると、肝臓がんは怖いけれども、結局先週教えてもらった、非代償性の肝硬変にならないように、ここをまず注意することが大切ということかもしれませんね。

(小高)はい、来週からは「胆のう・胆管」の病気について矢田先生に教えていただきます。そしてこのコーナー「健康のつボ」では、いろいろな病気について専門家の先生に解説していただいております。みなさんもテーマとして取り上げてほしい病気や症状などがありましたら、このコーナーまでお寄せください。専門の先生に教えていただきます。

(つボイ)はい、質問お待ちいたしております!

(小高)『健康のつボ~肝胆膵の病気』でした。 

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