一宮西病院・ハートセンターセンター長兼心臓血管外科統括部長の菊地慶太医師が、中華人民共和国・上海で開催されたCABGサミットに参加しました。この研究会にはCABG(冠動脈バイパス術)に特化した中国各地のドクター達が多数集まり、形式的ではない、医師たちの本音を交えた熱い意見交換が行われました。
一宮西病院・ハートセンターセンター長兼心臓血管外科統括部長の菊地慶太医師が、中華人民共和国・上海で開催されたCABGサミットに参加しました。この研究会にはCABG(冠動脈バイパス術)に特化した中国各地のドクター達が多数集まり、形式的ではない、医師たちの本音を交えた熱い意見交換が行われました。
CBCラジオ「健康のつボ~心臓病について③~」第7回(令和元年5月15日放送内容)
出演/つボイノリオさん(タレント)、小高直子さん(アナウンサー)、寺本智彦医師(一宮西病院循環器内科部長・ハートセンター副センター長)
(小高)水曜日のこのコーナーは『健康のつボ~心臓病について~』。日本人の死因の第2位の心臓病について専門の先生のお話を伺います。ゲストは一宮西病院・循環器内科部長でハートセンター副センター長の寺本智彦先生です。よろしくお願いします。
(寺本)よろしくお願いします。
(小高)先週まで「弁膜症」という病気について教えていただきましたが、今日は「大動脈瘤」について教えていただきたいです。
(寺本)怖い病気ですからね、これも。
(つボイ)僕はね、元気だった人が突然亡くなる病気というイメージです。僕が昔同じレーベルで頑張っていた、エレックレコードの大瀧詠一さんがパタッと亡くなったのも「大動脈瘤」が原因だと聞いています。
(小高)たしか、司馬遼太郎さんもじゃなかったですか?
(つボイ)司馬さんもなのか~。
(小高)はい。確かに「大動脈瘤」は、元気だったのにある日突然・・・というイメージがありますね。
(つボイ)僕らからすると、めっちゃ恐ろしいです。
(小高)どういう病気でしょうか?
(寺本)はい。まず、大動脈という心臓から全身に血液を送っている大きなパイプみたいな血管があります。血圧が高くなってくると、大動脈にかかる圧力が高くなってきて、血管の内膜の弱いところがあると、風船が膨らむように“瘤”みたい血液が溜まってしまうんです。
(つボイ)当然、そこの血管は弱いですよね?
(寺本)そうですね。なので弱いところを基点に風船のようにプックリと膨れてきてしまって、それがちょっとずつちょっとずつ大きくなっていきます。もちろん、昨日今日でいきなりボワッと大きくなるわけではなく、程度の時間経過によってですけれど、最終的にはそこの血管が破けてしまうと、「大動脈瘤破裂」となります。
(つボイ)破裂したらどうなるんですか?
(寺本)破裂してしまうと、かなり深刻な状態です。病院の中にいても、大動脈瘤が破裂してしまったら救命することが難しいといわれています。
(つボイ)病院にいても!?じゃあ自宅でそんなことになったら・・・。
(寺本)仰るとおりで、自宅でこういうことがあると、救命することは本当に難しくなってしまいます。
(つボイ)ということは破裂したときの致死率は?
(寺本)心筋梗塞より高いといわれています。
(小高)今の先生のお話を聞いていて、破裂する前は風船のように瘤ができて膨らんでいる状態ってことですから、病院に行って診てもらったら、「これちょっとやばい状態になっていますよ」っていうのは分かるんじゃないですか?
(寺本)そうなんですよね。検査をすれば分かるんですが、これがなかなか症状がないことが多いので・・・。
(小高)あっ!診れば分かるけど、検査までいかないんだ。
(寺本)はい。検査で「大動脈瘤」は見つけられるんですけれど、日常生活でそんなに困ることはないもんですから病院に行かない方が多いんです。
(小高)最近お腹出てきたとはかすぐわかるのにね。血管が膨らんでも分からないですもんね。
(寺本)時々ですが、すごく痩せた患者さんが「私のお腹の動脈がドクドクするんですけど」と来られることがありますが、痩せていると少し分かりやすいので、それで触ることでわかったりもします。
(小高)へぇ!そうなんだ!
(つボイ)あんた(小高さん)には関係ない話だわ。痩せてる人の話を言ってるんだから。
(小高)もお!そういう意味でもちゃんと痩せとかないといけないなっと思って・・・。
(つボイ)そういうことや。分かりましたか?
(小高)今、肝に銘じました。
(つボイ)それで、「大動脈瘤」があると分かった場合にはどんな治療があるんですか?
(寺本)もちろん大きいものが目立った場合はすぐに手術をしないといけないですが、大動脈はだいたい2cmから3cmぐらいの間は正常といわれて経過をみることもあります。そのとき重要なのは、まずなんといっても「血圧」です。血圧が高いと、どんどんその動脈にかかる圧力が高くなるので、大動脈瘤も大きく育ってきてしまいます。育たないように、高血圧のお薬をしっかり飲んでもらって血圧を良い値にする、これがまず第一。
(小高)私は最近血圧のコントロールは出来ていますから!
(つボイ)出来てるの!?体重はできていませんね。
(小高)出来ていませんけど・・・。
(つボイ)前々回だったかな、体重も心臓に負担がかかって弁膜症にも繋がると教えてもらったので、よく言われている「体重のコントロール」とか「血圧もちゃんと見ましょう」とかは本当に基本的なことですね。
(寺本)はい、とても重要です。体重が1kg落ちると、体の中の水分量が減ります。水分の中には塩分やナトリウムが多く入っていて、これらは血圧を上げるのにかなり強く作用しています。なので「体重落とす=ナトリウムを落とす」ということで、かなり血圧が下がるんです。
(つボイ)やっぱりちょっと身にしみますね、小高さん。
(小高)そうですね。美しさがどうとか言ってる場合じゃないですね。痩せるというのは健康のためですね。
(つボイ)あなたは美しさとは一番遠いところにおるから大丈夫。
(小高)え~。でも健康のためには本当に大事なことですね。ありがとうございました。一宮西病院の寺本智彦先生でした。皆さんも、心臓病や脳卒中を中心に専門家の先生に教えて欲しいことがありましたら、このコーナーまでお寄せください。
(つボイ)質問お待ちしております。
(小高)「健康のつボ~心臓病について~」でした。
◎第1回の放送内容はこちら
◎第2回の放送内容はこちら
◎第3回の放送内容はこちら
◎第4回の放送内容はこちら
◎第5回の放送内容はこちら
◎第6回の放送内容はこちら
CBCラジオ「健康のつボ~心臓病について③~」第6回(令和元年5月8日放送内容)
出演/つボイノリオさん(タレント)、小高直子さん(アナウンサー)、寺本智彦医師(一宮西病院循環器内科部長・ハートセンター副センター長)
(小高)水曜日のこのコーナーは『健康のつボ~心臓病について~』。日本人の死因第2位の心臓病について専門の先生のお話を伺います。ゲストは一宮西病院・循環器内科部長でハートセンター副センター長の寺本智彦先生です。よろしくお願いします。
(寺本)よろしくお願いします。
(小高)先週は「心臓弁膜症」についてということで、弁膜症にも何種類かありますというお話を伺いました。
(つボイ)心臓には弁が4つあって、それぞれの弁がうまく働けなくなるのが「弁膜症」ということでしたね。
(小高)そして、どの弁がどう悪くなっているのかで種類が分けられていましたね。狭くなって血液の流れが悪くなっているのか、開閉がうまくいかなくなって血液が逆流しちゃったりするのかっていう、その組み合わせのいろんな症状があるよってことでした。
(寺本)おっしゃる通りですね。
(小高)この、血液の流れが悪くなったり逆流したりすると、どういう症状が出るんですか?
(寺本)そうですね。「大動脈弁狭窄症」を例に挙げます。心臓の左心室が収縮したり拡張したりして全身に血液を送っているんですが、通り道として「大動脈弁」を通って最終的に全身に血液が流れます。その大動脈弁のところが狭くなっておりますので、簡単に言うと、全身に血液が送られにくくなってしまいます。通り道が狭いわけですから。
(小高)血液がドンドンドン!と出るはずが、チョロチョロチョロ…となってしまうんですね。
(寺本)その通りです。なので、心臓は全身に血液を送っていますので、当然その通り道が狭くなってくれば脳に送る血液や他のいろんな臓器に送る血液が相対的に減ってしまいます。本当にひどくなってくると、「脳虚血」のような意識を失うということもでてきます。弁膜症の症状で、意外にも一過性の意識消失、つまり意識を失ったり脳貧血・脳虚血という症状も出てきたりします。
(小高)初期症状としては何かあるんですか?
(寺本)そうですね。「大動脈弁狭窄症」では初期症状はほとんど無い、といえます。逆にいうと、『症状が出てくるようになると相当重度だ』と僕らの世界では言われております。
(小高)よく、ちょっと動くと息が上がって動けなくなって、しばらく休んでまた歩いて、また動けなくなって・・・という症状も聞いたことあるんですが?
(寺本)それは、左心房と左心室の間にある「僧帽弁」の「逆流症」がひどくなってくると起こる症状です。1回送ったはずの血液がまた戻ってきますので、心臓にとっては積み上げた積み木をガチャンとくずされてまた詰め!と言われているようなもので、相当負担が強くなってきます。さらに、送ったはずの血液が戻ってきますので、左心房がどんどん大きくなってきちゃうんです。そうすると心臓全体にもどんどん負荷がかかってきて、最終的には心臓と繋がっている肺の血圧が上がってきてしまう「肺高血圧」という状態になって、これが息切れに繋がってきます。
(小高)これは、放っておくと大変なことになりますよね?
(寺本)そうですね。これがあまりにも重度になってくると、いろんなことを代償しようとして、心臓がどんどん大きくなってきちゃうんです。「大きいことはいい事だ」とは言いますけれど、心臓は大きいのはやっぱり良くないんです。心臓のスペースはある程度限られていますので、肥大しきれなくなると心臓の機能が全うしきれなくなって「心不全」状態になります。
(つボイ)それは、どうやって治したらいいんですか?
(寺本)心臓と身体は、車で言えば“エンジン”と“ボディ”です。エンジンが完全にガソリンを送れないような状態になっているので、「そういう車だったらどうしたらいいですか?」といわれれば、まずはボディを軽くする。つまり体重を落として、全身を循環する血液量を減らして、心臓の仕事量を減らします。例えば根本的な治療ではないですが、利尿剤を飲んでおしっこを出して、体重を軽くするなどの方法があります。
(小高)お薬による治療ということですね。
(つボイ)お薬で治せるときくと安心するんですが、手術とか色々あります。
(寺本)そうですね。本当にもう弁を取り替えなきゃいけないような場合は手術をお子合うこともあります。
(つボイ)それも最近は切り開いてどうのこうの・・・としなくてもいいんですよね?
(寺本)はい。カテーテル的に、胸を開けずにカテーテルで大動脈弁を取り替える方法があります。
(つボイ)私は当事者ですから、切り開かなくて手術ができるのはかなり安心できます。
(寺本)そうですね、やはり開胸手術ではなかなか体力が持たない高齢の方や、手術がちょっと難しい全身状態の方には、明るい話だと思います。
(小高)治療法もどんどん進歩していっていますね。今日もお話を伺いました。一宮西病院の寺本智彦先生でした。ありがとうございました。
(寺本)ありがとうございました。
(小高)リスナーの皆さんも、心臓病や脳卒中を中心に、健康に関する質問などありましたらこのコーナーはまでお寄せください。専門家の先生にお答えいただきます。新生活フロッピー、「健康のつボ~心臓病について~」でした。
◎第1回の放送内容はこちら
◎第2回の放送内容はこちら
◎第3回の放送内容はこちら
◎第4回の放送内容はこちら
◎第5回の放送内容はこちら
CBCラジオ「健康のつボ~心臓病について③~」第5回(令和元年5月1日放送内容)
出演/つボイノリオさん(タレント)、小高直子さん(アナウンサー)、寺本智彦医師(一宮西病院循環器内科部長・ハートセンター副センター長)
(小高)水曜日のこのコーナーは『健康のつボ~心臓病について~』。日本人の死因の第2位の心臓病について専門の先生にお話を伺います。ゲストは一宮西病院・循環器内科部長でハートセンター副センター長の寺本智彦先生です。よろしくお願いします。
(寺本)よろしくお願いします。
(つボイ)たくさんのメッセージをいただいておりますけれども、ペンネーム『おっとどっこい』さんからです。『ローリング・ストーンズのミック・ジャガー(75歳)が弁膜症の置換手術をしました。』というお便りですね。
(小高)このニュースがあったので、弁膜症についてやミック・ジャガーについてのお便りがたくさん来たんですよね。
(つボイ)来ましたね~。実は私もこの前お休みをいただいて、ちょっと病院にかかって精密検査、いわゆる造影剤を使った検査をやりましたが、私の場合は即手術をしなくても良いということでありました。それから、こちらのペンネーム『たかこ』さんという名古屋市名東区の方からは、『私は4年前に弁置換手術を受けました。半年リハビリをして元気になりましたが、 早く手術をして良かったと感じております。この5年で今一番体調がいいです』だそうです。
(寺本)素晴らしいことですね。
(つボイ)良かったですねぇ。それから、52歳の漁師の方からは、『牛の生体弁を使用することにしました。手術の成功率は97%ということをネットで知りました。でもこれは「100人に3人は死ぬのか・・・」と思い少し怖かったのですが、8時間に及ぶ手術は無事に終わり、今では牛肉を食べる前には必ず手を合わせるようにしております』とのことです。僕は生体弁は豚と聞いていましたが、牛もあるんですか?
(寺本)そうです。患者さんが選択できない部分ではあるんですけれど。
(つボイ)なるほど。焼肉屋さんは自分で選べるんですけどね。
(小高)患者さんの状態によって、先生が一番いいものを選んでくれるんですね。生き物を使った弁のほかに、機械のものもありましたよね?
(寺本)おっしゃる通りです。機械弁というものがございます。患者さんのご年齢や病態などによって一番合うものを判断していきます。
(つボイ)さっき私が牛や豚と言いましたが、ペンネーム『さきは』さんという20代の四日市市の方は『私の母も心臓弁の病気を19歳で患いましたが、50代になって今も元気にしておりますよ』ということです。この方は豚の生体弁を使われたそうです。また、ペンネーム『桃のチーズ』さんからもいただきました。『私の母は47歳でペースメーカーを入れましたが、見た目も73歳に見えず 、障害者というのは恥ずかしいくらいオシャレも楽しんでおります』ということです。さらに蒲郡の『まもちゃん』からは『55歳の時に人工弁にしました』といただいております。多いですね~。さっきは豚とか牛とかのいわゆる生体弁で、人工弁とは金属でできているんですか?
(寺本)そうですね。金属と考えていただいて間違いないです。
(つボイ)なるほど。続きを読みますと、『ただ、人工弁は血栓がつきやすいというデメリットがあるので、ワーファリンという血液をサラサラにする薬を毎日飲んでおります。しかし、ケガなどをして出血すると血が止まりにくくなるので、例えば歯ブラシも柔らかい毛のものを使って出血しないように気をつけております』と。こういうお便りがドドっと届くんです、先生。
(寺本)すごいですね。
(つボイ)僕の気になることなんですが、弁膜症にも先天性や後天性など色々あるんですよね?
(寺本)そうですね。原因は結構様々になると思います。
(つボイ)今は弁のいろんなお話が出ましたが、まず、心臓にはどんな弁があるんでしょう?
(寺本)はい。心臓は4つのお部屋に分かれているんですけれど、右心房・右心室・左心房・左心室の4つに分かれています。それぞれに弁がついていますので、弁は合計4つ付いています。右心房と右心室の間についているものが「三尖弁(さんせんべん)」、右心室と肺に繋がる間には「肺動脈弁」、左心房と左心室の間に「僧帽弁(そうぼうべん)」、そして左心室と大動脈の間に「大動脈弁」という弁がついています。
(小高)その弁が狭くなるのが「狭窄症」ですよね。他にはどんな病気があるんですか?
(寺本)一般的に狭くなる「狭窄症」と、弁というのはとても絶妙なタイミングで開いたり閉じたりしているんですが、少し開閉が合わなくなってしまうときがあります。
(つボイ)閉まりが悪くなってしまう?
(寺本)そうですね。閉まりが悪くなってしまって、送ったはずの血液がまた戻ってきてしまう「逆流症」があります。なので、弁膜症は、送ったはずの血液が戻ってきてしまう逆流症と、送るための血液が送りにくくなってしまう「狭窄症」の大きく2つになります。
(小高)その弁の名前と、その症状の組み合わせで、いくつかの弁膜症の種類があるということですね。
(つボイ)そして治療法が違ってくるということですから、来週はそのあたりのお話しをお聞きしたいと思います。
(小高)先生、来週もよろしくお願いします。一宮西病院の寺本智彦先生でした。「健康のつボ~心臓病について~」でした。
◎第1回の放送内容はこちら
◎第2回の放送内容はこちら
◎第3回の放送内容はこちら
◎第4回の放送内容はこちら
地域にお住まいの皆さんがご自身の健康に関心を持っていただけるよう、当院では尾張西部医療圏(愛知県一宮市・稲沢市)を中心に「市民公開講座」を開催しています。2019年5月の開催予定をお知らせします。
【肛門の病気のお話】
開催日:令和元年 5月 21日(火)
時 間:開演 14時(開場 13時30分)
場 所:i-ビル(尾張一宮駅前ビル)7階シビックホール
講 師:佐藤 知洋 医師(一宮西病院 肛門外科部長)
参加無料/申込先着200名
【消化管 入口・出口のお話】
開催日:令和元年 5月 20日(月)
時 間:開演 14時(開場 13時30分)
場 所:i-ビル(尾張一宮駅前ビル)7階シビックホール
講 師:馬場 卓也 医師(一宮西病院 外科 医長)
参加無料/申込先着200名
いずれの講座も参加は無料ですが、事前申込が必要となります。参加したい講座名、参加人数、お名前(複数人ご参加の場合は代表者さま)をお電話にてお知らせください。
一宮西病院内・市民公開講座事務局
TEL:0586-48-0077(代表)
受付時間/平日午前9時~午後5時(土日祝日除く)
◎先着順となります。定員に達しましたら申込受付を締め切らせていただきます。ご了承ください。