CBCラジオ「健康のつボ~肝胆膵の病気~」 第3回(令和6年10月16日放送内容)
出演/つボイノリオさん(タレント)、小高直子さん(アナウンサー)、矢田雅佳医師(一宮西病院 消化器内科 肝臓内科部長)
(小高)水曜日のこの時間は「健康のつボ」。生命を維持するために重要な役割を果たしている「肝胆膵領域」の病気について、一宮西病院 消化器内科 肝臓内科部長の矢田雅佳先生に教えていただきます。
肝胆膵の中の「肝臓」のお話からうかがっております。
(つボイ)沈黙の臓器と呼ばれる肝臓だけに、症状が出た時には手遅れということもあると聞いています。
(小高)肝臓の病気については、よく知っておくことで、予防できることは予防したいなと思いますね。今週からは具体的な肝臓の病気について教えていただきます。矢田先生です。
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(矢田)最初はウイルス性の肝炎からお話ししたいと思います。
(つボイ)(小高)はい。
(矢田)これは感染症なんですが、肝臓は何らかの原因で炎症が起きて破壊が起きて、それによって肝臓の線維化が進んだり、肝硬変になっていったりします。その1つの原因として、ウイルス性肝炎があります。ウイルス性肝炎は、すべてが慢性になるわけではないです。
(小高)ウイルス性肝炎というのはよく耳にしますが、私たちA型とかB型とかそういうふうに聞いたりしますよね。
(矢田)日本で一般的にあるウイルス性肝炎はとA、B、CとE型があります。これらはそのウイルスのタイプが違ったり、種類が違って、感染の仕方もいろいろ様々です。A型肝炎とE型肝炎というのは基本的に食べ物とか飲み物ですね。口からの経口感染で起こるもので、いわゆる食中毒みたいなものです。
(つボイ)どういうときにそれが入ってくるんですか?
(矢田)これは貝類だったり、海外の汚染された水だったりします。あとはジビエですね。シカとかイノシシ、そういうのを生で食べること。それによってE型肝炎が起きることがありますとか、あと豚も持ってます。
(つボイ)それは覚えとかないといかんね。でも先生、それは熱して食べたらいいんでしょ?
(矢田)火を通してもらえば大丈夫です。
(つボイ)よかった!
(小高)いわゆる私たちがイメージする食あたりのような、例えばちょっと今体が弱ってたから当たっちゃったわみたいな、そういうことではないんですか?
(矢田)ウイルスが原因で、やっぱり下痢が起きたり、熱が出たり、お腹が痛かったりします。それで血液検査をすると、肝臓の数値もすごく上がっていてわかることがあります。
(つボイ)これがA型とE型。
(小高)あとB型というのは?
(矢田)B型肝炎は、基本的には血液・体液を介してうつる感染症なので、出産時にお母さんからうつる場合だったり、性交渉だったり、あとは針を共用したりとかしてうつることがあります。小さい頃、特に生まれたての赤ちゃんがお母さんから感染したりすると、慢性肝炎といって、ウイルスがずっと体に残ったキャリアの状態になります。そこから炎症が起きると肝炎になり、進展していくと肝硬変や肝がんができていくということになります。
(小高)はい。そうするとC型というのは?
(矢田)C型もですね、B型肝炎と同じように、血液を介した感染なんですね。基本的にC型はB型肝炎に比べるとずっとゆっくりゆっくり進んでいきます。自覚症状がないまま進んでいくことが多くて、慢性肝炎になって肝硬変、肝がんに進展することがB型よりもより高い確率で起きます。
(小高)はい。
(矢田)B型肝炎もC型肝炎も今はいろいろお薬があります。特にB型肝炎は、まだ体から完全に消すことはできないんですけど、飲み薬で長期的にウイルスを増えるのを抑えることで進行を抑えることができます。
(つボイ)型によってそれぞれ治療法も違うと。
(矢田)C型肝炎に関しては、今はすごくいいお薬が出て、10年ぐらい前から飲み薬だけでの治療があります。以前はインターフェロンといって、熱が出たりとか、副作用の強いお薬を使って治療していたんですけど、それに比べると2010年から飲み薬だけでの治療ができるようになって、その薬を飲むことでウイルスを完全に体から排除することが今可能になってます。
(小高)先生、ABC、Eってなってましたけど、Dってないんですか?
(矢田)Dはですね、ちょっと特殊なウイルスで、ちょっとこれはほとんど日本では見られないので、実際皆さんが目にすることは多分ないと思います。
(小高)じゃあDは私たち日本人は気にする必要がないということですね。
(つボイ)これはやっぱり調べると何型かというのがわかるわけですね。
(矢田)それぞれにそれ用の検査があるので、それぞれを疑った場合に、それに対して適切な検査が必要です。基本的に、A型肝炎とE型肝炎は1度なってしまうと抗体ができて何度も感染するものではないので、あんまり長期的に肝硬変、肝がんになるリスクはほとんどありません。
(小高)はい。先生、よく「劇症肝炎」という言葉をなんとなく私たちは聞いたことがあるんですが、この劇症肝炎っていうのは、そのウイルス性の肝炎と関係性ってあるんですか?
(矢田)今はなかなか劇症肝炎という言葉は使われなくなってきてるんですけど、みなさんが思われてる劇症肝炎というのは、何らかの原因で肝臓の炎症がひどく起きることで、それ1回で生命に危険を及ぼすような状態をいうんですね。原因としては、もちろんこれらのウイルス肝炎も可能性としてはなり得ます。
(小高)いいお薬も出てるっていうお話もうかがいましたけれども、やっぱり聞くと恐ろしい病気なんだなと感じますよね。
(つボイ)何型かというのを判別してもらえるということですよね。
(矢田)特に慢性肝炎になるB型C型に関しては、行政のやってる無料検査とかもあります。各自治体によっていろいろやり方が違ったりするので、各自治体のホームページとかを見ていただくといいと思います。無料検査を受けることもできますので、受けたことがない方はぜひやっていただいたらいいと思います。
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(つボイ)はい。今は注射の針も鍼灸の針も使い捨てなので、うつる心配はないですからね。感染しないためには自分で気をつけることができることは、ちゃんと気をつけたほうがいいと思いますね。
(小高)いくつか先生に教えていただきました。ジビエの生肉は食べないようにっておっしゃってましたけれども、豚肉もやっぱりちゃんと火を通さないといけないそうですよ。来週も引き続き矢田先生に肝臓の病気についてうかがいます。
(小高)さて「健康のつボ」では、いろいろな病気について専門家の先生に解説していただいております。みなさんもテーマとして取り上げてほしい病気や症状などがありましたら、このコーナーまでお寄せください。専門の先生に教えていただきます。
(つボイ)はい、質問お待ちいたしております!
(小高)『健康のつボ~肝胆膵の病気』でした。
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