抗がん剤治療の副作用で脱毛された患者さまへ 病院職員製作のニットキャップをプレゼント!

抗がん剤治療の副作用で脱毛された患者さまのため、ニットキャップをプレゼントしよう!」一宮西病院・外科ドクターの呼びかけで、先月より院内編み物サークルが立ち上がりました。10/24(火)に第1回目が開かれ、初心者から上級者まで、部署を越えた計5名の有志が集まりました。

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当院のこの取り込みにご賛同いただき、手芸糸・ニット糸の製造会社である『後正産業株式会社(一宮市北方町)』さまより、編み物用の毛糸をご提供いただきました!

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病気に立ち向かう患者さまのため、今後もこの取り組みを継続して参ります!

f:id:kyouryoukai:20171113112500j:plain◎完成したニット帽の一例。職員が心を込めて編みました。

第5回 一宮西病院WEB公開講座 『乳がんの基礎知識 ~乳がんの特徴、検査と診断~』

第5回 一宮西病院WEB公開講座健康寿命をのばすために~
テーマ:乳がんの基礎知識~乳がんの特徴、検査と診断~
講 師:一宮西病院 乳腺・内分泌外科 副部長 大久保 雄一郎 医師

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約90%が乳管から発生 乳がん発生のピークは40代と60代

乳がんの特徴、乳がんの検査と診断、遺伝性乳がんについてお話しします。まずは乳がんの特徴についてです。乳腺は、母乳を作る「小葉」と、母乳の通り道「乳管」から構成されています。乳がんは小葉や乳管の細胞の遺伝子異常によって発生し、約90%が乳管から発生すると言われています。また、乳がんの倍加速度(がんの大きさが2倍になるまでにかかる時間)は90日~100日ほどと言われ、1㎝程度のしこりになるには理論上、約7年かかると言われています。ただ、増殖能の高い乳がんもあり、その場合は短期間で急速に大きくなることもあります。乳がんの発症年齢ですが、日本人は40代と60代にピークがあり、右肩上がりに増加して60代でピークになる海外と比べると、独特な特徴があると言われています。

主な発症要因は環境と遺伝 危険因子によってはリスク3倍

乳がんの発症要因には、環境要因と遺伝要因の2つがあります。主な危険因子は環境要因で、たとえば飲酒や喫煙、肥満、そのほか女性ホルモンに関係する、出産・授乳経験がない、初産年齢が高い、初経年齢が早い(11歳以下)、閉経年齢が遅い(55歳以上)などがあります。危険因子がない場合と比較すると、出産・授乳経験がない方は3倍、肥満の方は1・5倍~2倍、家族歴のある方は3倍にリスクが増えると言われています。遺伝要因については後ほど詳しくお話しします。

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検査の基本は視触診とマンモ 高濃度乳房にはエコー併用

次は乳がんの検査法と診断についてです。検査の基本は視触診です。目で見てくぼみがないか、手で触れてしこりがないか、乳頭からの分泌物がないかなどをチェックします。長所は機器が必要ないためどこでも検査ができ、被ばくの心配もないこと。短所は、手の感覚に頼るためある程度の大きさでないとわからないことです。乳房専用のレントゲン装置を使ったマンモグラフィ検査は、触診でわからない大きさのしこりや、石灰化がよくわかるという長所があります。石灰化というのはカルシウム成分が沈着したもので、良性と悪性があり、悪性はがん細胞が石灰化したものです。マンモグラフィの短所は乳房を挟むため痛みを伴うことや、X線による被ばくを伴うため妊娠中の方は受けられないことが挙げられます。乳腺組織は年齢と共に脂肪に置き換わることから20~30代の方は高濃度乳房や不均一高濃度乳房が多く、マンモグラフィ検査を行っても乳腺組織としこりが判別できないことがあります。ですから、高濃度乳房や若年者の方にはエコー(超音波)検査の併用を推奨しています。エコー検査の長所は、X線による被ばくがないため妊娠中の検査が可能なこと、触診ではわからない2~3㎜のしこりや乳管のなかの病変までわかること。ただ、石灰化に関してはほとんど見えず、検査を行う人の技量によって精度が変わるなどが短所として挙げられます。また、検診における死亡率減少効果がまだ証明されていないのが現状です。マンモグラフィ検査はどなたも受けていただき、乳腺濃度が高濃度の方はエコー検査併用がおすすめです。

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初発症状はしこりが最多 月1回は自己チェックを

近年、画像検査などが進歩して乳がんを早期発見できるようになっていますが、最も多いきっかけは自己発見です。初発症状は、どの年代でも痛みのないしこりが多く、乳房痛や乳頭分泌などの症状でも見つかっています。乳腺外来の患者さんのなかには、乳房痛で乳がんを心配されて受診される方もおられますが、乳房痛は女性ホルモンのバランスによって起きるものが大半で、乳がんの初発症状としては10%を切る程度です。毎月1回、生理が終わった4~5日目を目安に、閉経後の方は毎月決まった日に、自己チェックを行うことをおすすめします。

遺伝性乳がん乳がん全体の10%程度

さて、最後に遺伝要因の乳がんについてお話しします。最近話題になっているのが、遺伝性乳がん卵巣がん症候群、通称「HBOC」と言われるがんです。原因は「BRCA1/2遺伝子」という遺伝子の病的変異で、年間約9万人の乳がん罹患患者数のうち約10%程度、約9千人がHBOCで発症すると言われています。BRCA1/2遺伝子の病的変異は2分の1の確率で親から子に受け継がれます。では、BRCA1/2遺伝子に病的変異を持つ方が、乳がん卵巣がんにかかる確率はどの程度かというと、乳がんに関しては、遺伝要因のない方の発症が12人に1人なのに対し、家族歴のある方は2~4倍、BRCA1/2遺伝子に病的変異を持つ方は6~12倍、80%近い方が発症すると言われています。また、BRCA1/2遺伝子に病的変異を持つ方の50~60%程度が卵巣がんを発症するとも言われています。乳がん全体から見るとHBOCの割合は5~10%と高くないので、それほど心配する必要はありませんが、BRCA1/2遺伝子に病的変異があると乳がんの発症率が高くなるので、そういった要因のある方は20代のうちから医療機関で検診を受けることをおすすめします。乳がんは適切な治療によってかなりの確率で治癒が望めます。最低2年に1回はマンモグラフィ検査を受け、乳がんの早期発見、早期治療に努めましょう。

病院をより身近に感じてもらうため、病院職員が地域のシティマラソンへ参加!

尾張西部医療圏で救急・急性期医療を担う一宮西病院はここ数年、稲沢・愛西・あま・津島など医療圏南部(及び圏外)からの患者数が増加、一宮市内に限らず当院へのニーズは高まりつつある状況と言えます。当院は地域の急性期病院としてこれまで以上にその使命を果たしていきたいと考えます。そのような状況の中、周辺地域の皆様に一宮西病院をもっと身近に感じてもらおうと、この度当院職員で構成するマラソンチームが「一宮西病院」のロゴ入りユニホームを着て、市外各地域のマラソン大会に出場する企画が立ち上がりました!

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ファースト・ランは、本日稲沢市で開催された「稲沢シティマラソン」!ドクター、コメディカル、事務職員と、所属部署を超えた15名が参加しました!

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また本企画は、マラソン参加費用を病院が一部負担することで、職員がマラソン大会に参加しやすい環境とし、職員の健康増進のサポートも兼ねております。「病気を治す病院の職員こそ、心とカラダが健康である必要がある!」という考えによるものです。

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各地域の皆様と触れ合いながら汗をかくことで、その地域の住民の皆様との距離も縮めていきたいと思います。

中日新聞(尾張版)に消防訓練の記事が掲載されました

中日新聞尾張版)11月10日(金)付・朝刊に、昨日一宮医療療育センターで行われた消防訓練の取材記事が掲載されました。

【記事見出し】
防災の備え 心引き締め 秋の火災予防運動 出発式や消防訓練

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一宮医療療育センターにて「平成29年秋季火災予防運動消防訓練」実施

本日11月9日、一宮医療療育センターにて、当センター職員・ご利用者さま、一宮市消防本部・消防署及び一宮市消防団による「平成29年秋季火災予防運動消防訓練」が執り行われました。

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一宮医療療育センターからの火災発生を想定、当センターと消防機関との協力体制を強化し、通報~避難誘導~初期消火~警防・救助~救急活動など災害対応に即した総合的な訓練となりました。

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訓練には当センター職員、消防関係者など約70名が参加しました。近隣の皆さま、地元大徳連区・朝日連区の関係者さま、近隣幼稚園の園児たちが見守る中、訓練参加者は真剣な面持ちで各訓練項目に臨みました。

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医療機関も消防・救急も“地域の皆さんに安心・安全を届ける”という共通した意義を持っています。今後も消防本部と適切な連携を図ることで、地域貢献を目指して参ります。

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熱き働き人 一宮西病院F11病棟・助産師 丸山英未(まるやまひでみ)

プロフェッショナル論~働く上でのこだわり~

私の働く上でのこだわりは、当たり前のことを当たり前にするということです。例えば「おはようございます」「お願いします」「ありがとうございます」といった挨拶や、「はい」「わかりました」という返事。患者さんに対してもスタッフに対しても、挨拶から始まり挨拶で終わるのは当たり前ですが、ずっと心がけていることです。また時間の許す限り、患者さんの話をしっかり聞きたいとも思っています。私の所属するF11病棟は産婦人科病棟であり、基本的にはADL(日常生活動作の自立した方ばかりですが、退院後の生活が心配と言われる方、自分が入院中家庭のことが心配、といった不安を訴えられる方も少なくありません。業務に追われる中ではありますが、時間を作って傍でお話を聞き、工夫できるところがあればお伝えし、心配を軽減して笑顔で自信を持って退院していただきたいと思っています。

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明日への挑戦~自らに課している要求~

初心忘れず、学び続ける姿勢を大事にしたいと思っています。日々医療は進歩しており、ガイドラインも改訂され続けています。また長年研究も重ねられているために、様々な報告もあります。古きよきものを学ぶのももちろんですが、エビデンスに基づいた最新のものを患者さんに安全にお伝えするためには、自分自身が内容を正確に理解していなければなりません。まだまだ経験が少ないからこそ自分で勉強はもちろんのこと、院外の研修・勉強会への参加や、先輩方からアドバイスをいただいて仕事に活かしています。また自分自身が妊娠・出産・育児等を経験していないため、患者さんであるお母さん方からの経験談を聞くことも大変勉強になります。ひとりひとり育児は違うとは言いますが、何人もの経産婦さんから上の子の時のお話を聞かせていただくことで自分自身の引き出しを増やし、他の患者さん方に活かしていきたいと思っています。

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理想の病院~こういう病院にしたい~

助産師として強く思うのは、西病院なら次も産みたい、と思っていただけるような病院であることです。全国的に少子化が進む中、ありがたいことに当院の分娩数は年々増加しています。中でもリピーターの方や友達の紹介を受けて当院で出産を決めた、という方が良くいらっしゃいますが、それは前回のお産や入院中の生活に満足していただけたからではないかと考えます。出産は人生の一大イベントとはよく言いますが、そんなありがたい場面に私たちは関わらせていただいています。と同時に育児の始まりでもあるため、入院中たった5日程度ですが、お母さん方が自信を持って退院できるよう、昼夜を問わず支援させていただいています。不安なことが1つ減ったとき、できることが1つ増えたときのお母さんの表情はとても嬉しそうです。地域の一病院として、安全で安心なお産ができるところ、産後も何でも相談できるところ、そう思っていただけるような病院であるために、日々努力し続けます。

一宮西病院F11病棟・助産師 丸山英未(まるやまひでみ)

第4回 一宮西病院WEB公開講座 『脳卒中のお話~予防から治療まで~』

第4回 一宮西病院WEB公開講座健康寿命をのばすために~
テーマ:脳卒中のお話~予防から治療まで~
講 師:一宮西病院 脳神経外科 部長 安田 宗義 医師

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脳の血管が詰まる「梗塞」、脳の血管が破れる「出血」

脳の動脈にトラブルが生じて起きる病気をすべて脳卒中と言い、トラブルには大きく分けて〈詰まる〉〈破れる〉の2つがあります。さらに、そのトラブルが起きる部位は、最も太い血管の主幹動脈、脳の表面を走る血管、顕微鏡でしか見えないほどの細い血管の3つがあり、この血管のどこかが詰まると「梗塞」、破れると「出血」という病名が付きます。まずは脳の血管が詰まる病気、私たち専門医が虚血性脳血管障害と呼ぶ脳梗塞についてお話しします。脳梗塞のなかで最も多いのが、細い血管が詰まって起こる「ラクナ梗塞」。そして次に多いのが、脳の表面を走る血管が詰まって起こる「アテローム脳梗塞」です。一方、詰まる病気のうち最も恐ろしいのが「心原性脳梗塞」。お風呂の栓がスポンとはまり込むように、太い血管に大きな血の塊が詰まり、脳のほとんどを損傷してしまう命に関わる危険な病気です。脳の血管が破れる出血性脳血管障害には、出血により脳内に血の塊ができる「脳内出血」と、脳の表面からシワにかけて出血を起こす「くも膜下出血」があります。

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比較的軽度な脳梗塞は主に薬や点滴で治療

次に、それぞれの病気の特徴や症状についてお話しします。まずはラクナ梗塞ですが、アテローム脳梗塞と比べると軽症で、1カ月程でほぼ治ります。アテローム脳梗塞は、血管の内壁にコレステロールがこびり付いて血管の壁が傷付くと、血液中の血小板がかさぶたを作ろうとして集まり、そのかさぶたの上にコレステロールが付き、そこにまた血小板が集まり…を繰り返して血管が詰まる病気で、後遺症が強く残る傾向があります。原因の1つは加齢ですが、その他の大きな原因として高脂血症、高血圧、糖尿病、喫煙などが挙げられます。ラクナ梗塞とアテローム脳梗塞の主な症状は、手足に力が入らない、ろれつが回らない、めまい・ふらつきなどがあり、頭痛の症状を訴える方はあまりいません。ラクナ梗塞とアテローム脳梗塞の治療では、血液をサラサラにする抗血小板剤という薬を服用します。また、脳梗塞で入院した直後の患者さんには、血小板の機能や血の固まり具合を穏やかにする点滴をして急性期を乗り切ります。

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命に関わる心原性脳梗塞 症状があれば即、救急車!!

脳の主幹動脈が詰まる心原性脳梗塞は、その名のとおり原因は心臓にあります。心房細動など不整脈があると心臓の血液がよどんで血栓ができ、その血栓が外に押し出されて脳に詰まることで起こります。心原性脳梗塞の主な症状は、非常に重い半身まひ、意識低下(昏睡状態)、言語障害などです。治療は、坑凝固剤の服用のほか、治療のタイミングによって点滴を投与したり、カテーテルによる血栓回収治療を行ったりします。症状がある場合、すぐに救急車を呼んでください。

脳内出血は血圧管理が重要 起床時の高血圧は要注意

次に、出血性脳血管障害の特徴や治療についてです。まず、細い血管が破れて起きる脳内出血の原因は、ほとんどが高血圧です。最大血圧が常時170㎜Hg以上の方は、いつ血管が破れてもおかしくなく、特に、夕方よりも朝起きたときの血圧のほうが高い方は要注意です。主な症状は急な半身まひで、頭痛を訴える方はまれです。ただ、血だまりが大きいと頭痛や意識が低下することもあるので、症状が軽いうちに救急受診することを強くおすすめします。脳内出血の治療は、脳を押しつぶすほど大きい血だまりがある場合を除き、原則として手術は行わず、血圧を管理して血だまりが引くのを待つのが一般的です。

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脳卒中の予防につながる、生活習慣病の予防・治療

くも膜下出血は、太い血管にできた脳動脈瘤が破れることで起こります。症状は、突然の激しい頭痛、吐き気・嘔吐、意識喪失などで、手足のまひはほとんどありません。治療は脳動脈瘤を処理する手術を行います。1つはクリッピング手術と言い、頭を開いて血管にできた瘤をチタン製の専用クリップで挟みます。もう1つはカテーテル手術で、太ももの付け根の動脈から脳血管の瘤までカテーテルを通し、瘤のなかにプラチナの専用コイルを詰めて破裂を防ぎます。脳卒中生活習慣病の予防・治療が大きな力を発揮するので、高血圧や糖尿病などがある方は、かかりつけ医と相談しながら、しっかり治療を行いましょう。