CBCラジオ「健康のつボ~肺がんについて~」 第10回(令和5年3月15日放送内容)

CBCラジオ「健康のつボ~肺がんについて~」 第10(令和5年3月15日放送内容)
出演/つボイノリオさん(タレント)、小高直子さん(アナウンサー)、竹下正文医師(一宮西病院副院長 呼吸器内科部長)

(小高)「健康のつボ~肺がんについて~」。日本人の死因第1位の「がん」の中でも、死亡者数が一番多い「肺がん」について、一宮西病院副院長 呼吸器内科部長 竹下正文(たけしたまさふみ)先生に教えていただきます

(小高肺がんは怖い病気ですが、それぞれのステージに合わせた治療法、手術、放射線、薬、いずれの分野でも進化はめざましいものがあります。

(つボイ)早く、「怖くない病気」になるといいですねぇ。

(小高本当、そうですよね~。今日は、今シリーズのまとめとして、あらためて肺がんの現状について確認していきます。

 

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(竹下)肺って右と左2つあるんですけど、空気の通り道の気管が右と左の気管支に分かれて、さらに23回分岐して、最終的にぶどうの房みたいな肺胞みたいなところにいきます。肺胞は成人で3億個ぐらいあると言われていて、その気管・気管支・肺胞の正常な細胞が何らかの原因、遺伝子に傷などがついて、がん化したものが「肺がん」なんですね。

(つボイ)肺胞だけじゃなくて、気管支ががんになっても「肺がん」になるんですね。

(竹下)そうですね、そういったものも含めてトータルで肺がん」ですね。

(つボイ)なるほど~。

(小高)そして、肺がんから全身に広がっていったりもするんですよね?

(竹下)そうでうね…。正常な細胞ってある程度のところで分裂は止まるんですけど、がん細胞は増殖能力が強くて、周囲の組織に浸潤しながら増殖していって、やがて血管やリンパ管に乗って全身に広がっていくという特徴があります。

(つボイ)やっかいな話ですわ~!

(小高)そうですね~。

(竹下)いわゆる「転移」っていうものですね。

(小高)怖い~!この肺がんの患者数って、今日本ではどのくらいなんでしょうか?

(竹下)えっとですね、肺がんの年間の罹患数は11万2,000人で、男女合わせた全てのがんの中で第3位なんですね。この11万2,000人というのは、1時間に13人肺がんになってるということなので、そう考えると本当に国内でも多いがんかなと。

(小高)肺がんになる人がそれだけ多いってことなんですよね。ちなみに、その中で亡くなる方っていうのはどれくらいなんでしょうか…。

(竹下)亡くなる方は全てのがんの中で1位(の人数の多さ)なんですよね。年間の死亡者はおよそ7万7千人ほど亡くなられています。

(つボイ)嫌ですわ~。

(小高)ね。怖い怖い。肺がんも他のがんと同じように、悪くなっていくとステージが上がっていくと思うのですが、どういう風にステージを区別されているんでしょうか?

(竹下)肺がんに限らず、どのがんもⅠ~Ⅳまでで分類するんですが。簡単に言うと、ステージⅠ(Ⅰ期)は、肺にがんが限局して、肺にのみ病変があるときのみです。あと分かりやすいのがはⅣ期ですね。ステージⅣ(Ⅳ期)は、肺の外側に飛び出していて、どこかにもう転移してしまっている状態です。遠隔転移ですね。肺がんは、脳・骨・肝臓・副腎というような臓器に転移しやすいんです。どこかに1か所転移していたらもうこれステージⅣ(Ⅳ期)なんです。

(つボイ)えぇ~~~。

(竹下)で、ステージⅡ(Ⅱ期)・ステージⅢ(Ⅲ期)というのが、リンパ節の広がりとか、サイズの大きさとかで変わってくるんですけど、簡単に言うと、例えば右側の肺にがんができてたら、右側の肺門という肺の入口のリンパが腫れてたらステージⅡ(Ⅱ期)。で、そのリンパが肺門からさらに進んで縦郭というところまで広がっているとステージⅢ(Ⅲ期)ということになります。なのでリンパへの広がり具合によってⅡ期Ⅲ期と分かれていきます。

(小高)肺の中で徐々に広がっていくのがステージⅡ(Ⅱ期)だったりステージⅢ(Ⅲ期)だったりするんですね。

(竹下)そうですね。

(小高)肺の中でこのステージと治る確率っていうのが、私たちはすごく気になっちゃうんですけど…。

(竹下)そうですね。Ⅰ期は肺だけなので、それを切除して治すという治療が中心になるんですけど、5年生存率は80%以上と言われています。

(小高)Ⅰ期だと80%以上!!

(竹下)そうですね。Ⅱ期だと大体50~60%くらいと言われていて、Ⅲ期も以前は25%くらいだったんですけど、Ⅲ期の治療法がだいぶ進歩してきて40%近くまで伸びてきているのが現状ですね。

(小高)こないだ言ってた、お薬の進歩とかですね!

(竹下)お薬と放射線治療の進歩ですね。Ⅳ期はまだまだ低くはあるんですけど、どんどん伸びてきていて20~30%の5年生存率が期待できるようになってきています。

(つボイ)なるほどね~。5年生存率ってことは、6年、7年ということは期待したらあかんのですか?

(竹下)がんをフォローするうえで、一つの目安として5年間はフォローしましょうってことですね。Ⅰ期でいうと5年生存率が80%ということは、5年後に80%が治っているということなんですね。

(つボイ)そりゃあ余計に安心したわ!5年はよかった!でも6年目はあかんわってことじゃないんですね。

(竹下)おそらく早期のⅠ期Ⅱ期で根治的に治療したものは、5年で再発しなければ、おそらく根治しているという判断ができると思います。

(小高)5年が1個の節目なんだけど、そこに至るまでが何%かっていうのがステージによって分かれているということなんですね。そうやって言うと、やっぱりこのコーナーで何度もお話してますけど肺がんも早期発見が本当に大事!Ⅰ期だったら80%以上ですものね!

 

 

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(つボイ)数字をあげて理解できましたけども、根治できるうちに発見できたらいいですよね~。

(小高)ステージⅠや、遅くともステージⅡの段階で発見されるためにはどうしたらいいか?来週はその辺りのことを振り返っていただきます。

(小高)さて「健康のつボ」では、いろいろな病気について専門家の先生に解説していただいております。みなさんもテーマとして取り上げてほしい病気や症状などがありましたら、このコーナーまでお寄せください。専門の先生に教えていただきます。

(つボイ)質問、お待ちいたしております!!

(小高)『健康のつボ~肺がんについて~』でした。 

 

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