CBCラジオ「健康のつボ~肝胆膵の病気~」 第13回(令和6年12月25日放送内容)
出演/つボイノリオさん(タレント)、小高直子さん(アナウンサー)、矢田雅佳医師(一宮西病院 消化器内科 肝臓内科部長)
(小高)水曜日のこの時間は「健康のつボ!」。生命を維持するために重要な役割を果たしている「肝胆膵領域」の病気について、一宮西病院 消化器内科 肝臓内科部長の矢田雅佳先生にうかがってきました。このシリーズは今日が最終回となります。
(つボイ)はい。いろんなお話を聞きましたが、肝臓、胆のう・胆管の胆道、そして膵臓。どの病気も初期症状がはっきりせず、早期発見が難しいということがお話を聞いてよくわかりました。
(小高)今日はその肝胆膵の病気の最終回ということで、改めて肝胆膵領域の病気についてまとめていただきます。矢田先生です。
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(矢田)肝胆膵は食べ物の通り道ではないですが、消化や吸収にかなり深くかかわっています。「肝臓」は特に消化ですね、胆汁を作って消化を助け、栄養素の貯蔵とか代謝に関与しています。胆のうと胆管を合わせた「胆道」は、胆汁を蓄える胆のうとそれを流す胆管に分けられます。これらが協調して胆汁の流れをコントロールし、脂肪の消化を助けています。
(小高)はい。
(矢田)「膵臓」は消化酵素とインスリンなどのホルモンを分泌する臓器です。消化にも必要であるし、食べた後もホルモンの調節によって体の中の糖の調整を行っています。それぞれ大事な臓器なので、いろいろな炎症を起こして硬くなっていくと、線維化やがん化するなど怖い病気が起きてきます。いずれもですね、なかなかこれといった特別な症状がありません。
(つボイ)それが厄介ですよね~。
(矢田)徐々に進行していくことが多いので、気づいた時には結構進行していることが多いですね。これらに障害が発生すると、栄養の吸収もうまくできなくなるし、広範囲に影響を及ぼして、本当にいろんな体の状況を悪化させていくことになります。
(小高)家族に膵臓、肝臓、胆道、そういったところの病気がある人っていうのは、ちょっと気をつけた方がいいですか?
(矢田)膵がんに関しては、結構家族歴があるとっていうのはあります。一般的な肝細胞がん、肝臓がんは、家族歴というよりはウイルスやアルコールだったり、慢性的な肝臓の病気があることの方が大事だと言われてますね。
(小高)後ろ側、背中側にある膵臓なんかは手術が本当に難しかったり、見えにくいんで病気を見逃しがちだっていうふうに言われますけど。
(矢田)そうなんです。膵臓に限らず、我々消化器内科と外科の先生たちが協力して治療をしていくんですけど、手術としては、やはりかなり体の深部にある臓器が多いので、手術自体も難しいことが多いし、患者さんへの負担も結構大きいですね。そのために手術がどうしてもできないことも多いので、その場合は抗がん剤とか放射線を利用したり、いろんなことを組み合わせて集学的に治療をやっていくことが大事になります。
(小高)ずっとお聞きしてると、やっぱりなかなか難しいという印象が深いんですけれども、医療の進歩とか発達とかって先生の肌感からするとどうなんですか?
(矢田)抗がん剤とかロボットを利用した手術とか、いろいろな技術は進んではきていると思います。しかし、特にすい臓がんなどは早期に発見できないと、なかなか完全に治すというのは難しいです。特殊な検査方法とかが出てくればまた変わってくるとは思うんですけど、なかなか難しい病気だと思います。
(つボイ)また初期の方が症状がわかりにくいっていう話をずっとこのシリーズうかがってますからね。先生、何か最後メッセージをお願いいたします。
(矢田)今回ずっと肝胆膵のお話をさせていただきましたが、非常に難しい病気ではあります。僕が肝臓専門でもあるからなんですが、ウイルス性肝炎に関しては非常にいいお薬が出ています。ですから、なるべく先に進まないように、肝炎と言われたことがある方はですね、ぜひ病院を受診されて、1度お話を聞いていただいたらいいと思います。
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(つボイ)はい。初期は症状がない、早期発見が難しいということですから、結局、食生活とか運動とか、日頃の生活習慣が大切ということになりますよね。