CBCラジオ「健康のつボ~肝胆膵の病気~」 第10回(令和6年12月4日放送内容)
出演/つボイノリオさん(タレント)、小高直子さん(アナウンサー)、矢田雅佳医師(一宮西病院 消化器内科 肝臓内科部長)
(小高)水曜日のこの時間は「健康のつボ!」。生命を維持するために重要な役割を果たしている「肝胆膵領域」の病気について、一宮西病院 消化器内科 肝臓内科部長の矢田雅佳先生に教えていただきます。
これまでは、「肝臓」、そして「胆のう、胆管」のお話をうかがってきました。
(つボイ)残るは「肝胆膵」のうちの「膵臓」ということになります。
(小高)膵臓といえば、名作「君の膵臓が食べたい」を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。映画化もされた小説ありますよね。
(つボイ)食べたいということからすると、鶏とか豚とか牛のレバーは串で焼いて食べたりいろいろするんですが、膵臓というのは食べられるのかなぁ?
(小高)このタイトルを聞いたとき、みんなびっくりしたと思いますけれどもね。ホルモンの話じゃなくて、この「君の膵臓が食べたい」というタイトル、象徴的に使われていますけれども、膵臓の病気で余命幾ばくもない少女と、彼女の秘密を知ったクラスメイトの少年との交流を描いた青春小説です。生きることとは?っていうのを突き詰めた感動の小説。映画でね、涙した人も多かったと思います。このヒロインが命にかかわる膵臓の病気になっているという、そんな設定にもなっていましたね。さあ、その膵臓なんですが、いったいどんな働きで、どんな病気があるんでしょうか?矢田先生に教えていただきます。
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(矢田)膵臓は胃の裏側にあって、長さは約15㎝から20㎝ぐらいで幅が2、3㎝あります。小さくて細長い臓器で、拳銃のような形をしています。膵臓の中には膵管という管が通っていまして、それが膵臓全体から消化液を集めて流す役割を持ってます。
(小高)消化液を集めて流す役割。
(矢田)膵臓自体が膵液という消化液を作って、膵管を通って十二指腸に送り出す。これが外分泌機能という消化液を出す力ですね。
(つボイ)何を消化するんですか?
(矢田)たんぱく質や脂肪分を消化します。もう一つ膵臓には、ホルモンを作る役割があります。腸の動きを調節したり、インスリンやグルカゴンなど血糖調節をする作用を持ったホルモンを作り出します。これを内分泌機能といいます。
(つボイ)これ糖尿病とかで非常に問題になってくるわけですね。
(矢田)糖尿病の中にはですね、全く膵臓がインスリンを出せなくなって、注射を打たないといけなくなった患者さんもおられます。インスリン不足になると、糖尿病になったり、消化液が不足して慢性的に下痢をしたりして、消化不良を起こすということが起きます。
(つボイ)なんか地味ですが、めちゃくちゃ重要ですよね。
(小高)そうですよね。食べ物が通る臓器ではないけれども、食べ物を消化するために必要なものを作ったり助けたりしているという臓器なんですね。そんな膵臓の病気といいますと、どんなものがあるんでしょうか?
(矢田)まず一つは、炎症としての膵炎ですね。急に激しいお腹の痛みを催す急性膵炎と、炎症が徐々に進みながら、膵臓が慢性的に炎症を起こす慢性膵炎があります。それとやはり、どこの臓器でも前回からもお話ししてますけど、膵臓には膵臓がんができます。これがなかなか発見が難しくて、手遅れになることが多いです。
(小高)なんか膵臓の病気ってなかなか見つからないし、発見された時にはもう結構大きなことになっちゃってて怖いってよく言われますけど、やっぱりそうなんですか。
(矢田)急性膵炎に関しては、最初に激しい痛みがあるので気づかないということはあまりないです。しかし慢性的に進んでいくと徐々に炎症が進んで、膵臓の機能がなくなって糖尿病を発症したりします。膵臓がんに関しては特別な症状がないんですね。あったとしても、なんとなくお腹が重たいとか、最近体重が減ってきたなとか、食欲がないとか、胸焼けするとか、膵臓特有の症状というのがなかなかないので、がんが見つかる時も進行した状態で手遅れになって見つかることがよくあります。
(小高)胃もたれとかちょっとした不快感っていうのは、日常的によくあるぐらいの急激なものではなくてですか?
(矢田)そういうことで始まることもあります。