CBCラジオ「健康のつボ~不整脈について~」 第9回(令和4年3月2日放送内容)

CBCラジオ「健康のつボ~不整脈について~」 第9回(令和4年3月2日放送内容)
出演/つボイノリオさん(タレント)、小高直子さん(アナウンサー)、古川善郎医師(一宮西病院  不整脈センター センター長)

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(小高)水曜日のこの時間は『健康のつボ~不整脈について~』。一宮西病院 不整脈センター センター長の古川善郎(ふるかわ よしお)先生にお話を伺っております!

(小高)ここのところ、治療が必要な不整脈というものについて伺ってきました。脈が遅くなる洞不全症候群や房室ブロックなどは、場合によってはペースメーカーを入れることもあるそうですね。また逆に脈が早くなる頻脈としては、これは私も治療してもらった心房細動なんていうものがあります。

(つボイ)うん。脈が乱れ打つような振動細動。これはカテーテルアブレーションで、原因であると思われる箇所を焼いて治療するということでありました。

(小高)今日は心房細動以外の頻脈について教えていただきます。古川善郎先生です。

 

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(古川)不整脈って起こる舞台によってその名前が変わるんですね。心房で起これば心房頻拍、心室で起これば心室頻拍とか心室細動とかがあるんですけど、心室不整脈に関してはまた後日ということにさせてもらいます。今日は上室性不整脈の中でも、発作性上室性頻拍症(ほっさせい じょうしつせい ひんぱく しょう)っていうことでお話ししたいなと思ってます。

(つボイ)ほぉほぉ!また難しそうな…これはどんな症状なんですか?

(古川)名前も簡単なんです。まず、発作性」っていうのは普段は正常でも発作が起こった時はドキドキドキドキする。止まるとまた正常になる。結構症状もはっきりしていて、突然始まって突然止まる。そんな不整脈が発作性上室性頻拍症なんです。次の「上室性」っていうのの室というのは心室の室なんですけども、その上、つまり上室性というのは結局心房性ってことなんですけども、昔から慣習的に上室性という言い方をします。それで脈が100以上あるものを上室性頻拍というわけなんです。

(つボイ)なるほど~。

(小高)そうすると、発作性の、心房で起こる頻脈ということですか?

(古川)そうです。心房が舞台となっている頻脈です。心房から心室には1本の通り道で電気信号が通るんですね。

(小高)はい。上から下。

(古川)心臓というのうまくできていまして、1度電気が通ったら0.2秒とか0.3秒間は通れないんです、基本的に一方通行で、わずかな間は通れない。これが例えば1本の通り道以外にもう1本と内道がある人がもしいたとしたら、その人は(電気信号が)片っぽは降りてて片っぽは上る、そこでくるくる回る回路ができてしまうんです。その回路を1分間に150回とか180回とか回るとそういった頻拍が起こるんです。

(小高)そこでぐるぐるしちゃうんだ。

(古川)そうです。

(つボイ)それは患者さんにとって苦しい状況なんですか?

(古川)そうなんです。だから突然始まる動悸で、その回路が回っているのが突然止まれば正常に戻るわけですから、突然始まって突然止まる。そういう動機を感じることが多いです。

(つボイ)どのくらいの時間そんなことになってるんですか?

(古川)それ人によります。数秒という人もいれば、数時間続きますという方もいます。

(小高)症状としてはすごいドキドキするんですか?

(古川)そうですね。そういう方が多いと思います。

(小高)これは治療法はどういうものがあるんですか?

(古川)治療法は、結局はそういう回路があることが問題ですから、回路の電気の流れを止めてしまうのが一つ大事なことなんです。房室結節という通り道と、もう1個の通り道、副伝導というののどっちかを遮断すれば頻拍は止まるわけですから、例えば房室結節に効くようなお薬を使って頻拍を止めてしまう、このような治療があります。

(小高)ぐるぐる回っている回路の、一番適切なところをブロックして、ぐるぐるを止めるということですね。

(古川)そうです。ただ治るわけじゃないです。あくまでもその時に止まってるだけで、結局は回路としては存在しますので、再発の恐れはあるわけなんです。結局2本あることが原因ですので、必要な方は残して不必要な方をなくししまえば二度と起こらなくなりますので、そこでアブレーションっていうのが効くんです。

(小高)根治しようとなるとやっぱブレーションが出てくるわけですね。

(古川)の通りです。

 

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(小高)ということでね、頻脈と一口に言っても起こる場所によって色々な不整脈があるわけですね。一宮西病院の古川先生でした。『健康のつボ~不整脈について~』でした。 

 

 

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CBCラジオ「健康のつボ~不整脈について~」 第8回(令和4年2月23日放送内容)

CBCラジオ「健康のつボ~不整脈について~」 第8回(令和4年2月23日放送内容)
出演/つボイノリオさん(タレント)、小高直子さん(アナウンサー)、古川善郎医師(一宮西病院  不整脈センター センター長)

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(小高)水曜日のこの時間は『健康のつボ~不整脈について~』。一宮西病院 不整脈センター センター長の古川善郎(ふるかわ よしお)先生にお話を伺っております!

(小高)さぁ、治療が必要な不整脈として、洞不全症候群そして房室ブロックについて伺ってきました。

(つボイ)はい。まぁ不整脈にもいろいろあるので、今日はどういう不整脈なんでしょうか?

(小高)はい!古川先生です。 

 

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(古川)今日は「心房細動」についてお話したいと思います。一番多い不整脈です。

(小高)一番多い!?多数派!

(つボイ)あんまり属したくないんだけど私は。

(小高)改めて、心臓細動とはどういうものでした?

(古川)心房細動とはその名の示す通り、舞台は心房になります。

(小高)改め心臓の上のお部屋ですよね。

(古川)はい。心房が細動、細かく動くと書くんですけど、1分間に300回から400回ぐらいすごく早く動く結果、震えるだけになってしまう。

(つボイ)それは小高さんは自覚はあったんですか?

(小高)自分が手首とかで測った脈としては”乱れ打ち”のように、早い遅いじゃなくて、ドコドコなりますが、心臓の状態というのは痙攣のような感じなんですか?

(古川)心房が震えて、それが心室に適当に伝わるので、脈が乱れます。多くの方は脈が早くなることが多くて、しかも脈が乱れるような、小高さんがおっしゃったような”乱れ打ち”という状況になります。

(小高)の症状でいくと、やっぱり息苦しくなって、上手に息が規則的にできないから苦しいし、ちょっとが出ちゃった、そんな感じでした。

(古川)心房細動の症状はすごく多彩なんですよね。もう立てないぐらいフラフラになって、動けない・息が苦しい・動悸が止まらないという強い症状の方もいれば、全く症状がない・全くわからないよっていう方もいらっしゃるんです。高齢者に多い病気なんですけども、だんだん歳をとるにしたがって、ちょっと動いたら息が切れるのは「もうこれ歳のせいだな」って本人は思ってることが、実は心房細動の症状だったりする場合もあります。

(小高)私心臓の症状って気付かずに、「ちょっとゼーゼーするな」「息が上がるな」「体力が落ちたのかな」と思っちゃうんですね。

(古川)それは歳のせいでない可能性もある、ということです。

つボイ)それは調べてみないとわからないですね。

(小高)で、心房細動になった場合の治療法というのは?

(古川)まず第一に心房細動というのはすごく大事なこととして、「脳梗塞」が多くなってしまう病気なんですね。心房が震えるだけになってしまった結果、心房の中で血が澱んでしまうんです。その結果、血のかたまり(血栓)ができてしまいます。血栓が飛んでいったときに例えば頭で詰まると脳梗塞になります。

(小高)だから症状がなくてつらいわけではないよ、という人にとっても、実はそういった危険が潜んでいる。で、カテーテルアブレーション管を通して心臓の悪さをしている部分の心筋を焼くんですね。

つボイ)焼いたり冷やしたり、と前に言っていましたね。焼くと冷やすじゃ全然別のことをやっていますが、同じことなんですか?

(古川)細胞を障害させるのがカテーテルアブレーションというものなんですね。心房細動の原因の多くは肺静脈です。心臓から血液が一回肺に送られます。また肺から左心房に戻ってきます。4本の肺静脈を通って肺に戻ってきます。右から2本、左から2本の肺静脈を通って左心房に戻ってくるんですけど、その肺静脈のところから出た不整脈で心房細動が起こるってのが多いんですんですね。ですのでその肺静脈の周りを焼く、あるいは冷やすことによって、肺静脈から出る不整脈を心臓まで届かないようにすることがアブレーションです。

つボイ)届かないように焼いたり冷やしたりするんだ…。

(古川)はい。簡単に言うと奥から出てくるのを抑え込むイメージです。

つボイ)それは小高さんはリクエストするんですか?「先生!私は焼くより冷やしてください!」とか。

(小高)(笑)

つボイ)患者さんはリクエストできるんですかね?(笑)

(古川)えっと…言われる患者さんもいらっしゃいます。

つボイ)いるんだ!?

(古川)よく勉強されて、最近ではインターネットなどでも調べられて、「私はこっちでやってほしい」という方もいらっしゃいます。

(つボイ)そういう手術のリクエストいうのは医学的に合ってるんですか?

(古川)まずこのアブレーションに関しては焼く方でも冷やす方でも効果は高いと考えてます。それぞれ特徴があって、例えば冷やすのには風船を広げて心臓に押し当てて冷やすので、肺静脈がすごく大きい人はちょっと向いていないとか、できないことはないけど不向きの場合はあります。

つボイ)焼くのに「レアでお願いします」とかは?

(古川)レアはあんまり良くないです。

(小高)ジュッて!壊死だから!ジュッてさせないかんから!

つボイ)失礼いたしました。小高さんもこの治療でしたよね?

(小高)そうですそうです。私の心房細動もカテーテルアブレーション治療で、焼く方でした。やけどさせるのと凍傷を起こすので、「焼く」「冷やす」という方法があるということでした。

(つボイ)全然違うようにみえるけど、目的は「治しましょう」ということですよね。

(小高)私もこのカテーテルアブレーションで心房細動を起こさなくなりましたね。来週も古川先生に不整脈について教えていただきます。『健康のつボ~不整脈について~』でした。 

 

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循環器内科・旦一宏医師が、冠動脈ステントの発展と最新トレンドについて講演しました

一宮西病院 循環器内科・副部長の旦一宏医師が、帝京大学の上妻兼教授、聖路加国際病院の浅野拓先生と、冠動脈ステントの発展と最新トレンドについての講演をe-casebookで行いました。

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■第1部 薬剤溶出性ステントを用いたPCIの15年の軌跡 -私達は正しい道を歩んで来たのか?-
座長:上妻謙 先生(帝京大学
演者:浅野拓 先生(聖路加国際病院
コメンテーター:旦一宏(一宮西病院)
■第2部 BIOFLOW pooled analysis in small vessel or calcified lesions
座長:上妻謙 先生(帝京大学
演者:旦一宏(一宮西病院)
コメンテーター:浅野拓 先生(聖路加国際病院

CBCラジオ「健康のつボ~不整脈について~」 第7回(令和4年2月16日放送内容)

CBCラジオ「健康のつボ~不整脈について~」 第7回(令和4年2月16日放送内容)
出演/つボイノリオさん(タレント)、小高直子さん(アナウンサー)、古川善郎医師(一宮西病院  不整脈センター センター長)

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(小高)水曜日のこの時間は『健康のつボ~不整脈について~』。一宮西病院 不整脈センター センター長の古川善郎(ふるかわ よしお)先生にお話を伺っております!

(小高)さぁ、先週からこの不整脈原因別に起こる不整脈の詳しいお話を聞いております。

(つボイ)はい。先週は洞不全症候群(どうふぜんしょうこうぐん)ついて教えていただきましたけどもね、これは心臓の“発電所”であるところの『洞結節』の異常でしたね。今日はどういうタイプの不整脈のお話になるでしょうかね?

(小高)はい!では、古川先生です。 

 

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(古川)本日も徐脈の1つで、房室ブロックというものをお話ししたいなと思います。その名前の通り、心房と心室の間で電気がブロックされる病気です。

(小高)心臓の上のお部屋(心房)と心臓の下のお部屋(心室)に…?

(古川)2つの部屋の間にある電気の通り道に、電気が通れなくなります。

(小高)あ!上の部屋から下の部屋まで電気が上手に伝わらないんですね。

(古川)そうです。

(つボイ)2階は電気がついていて、1階が真っ暗になるのかと思った。

(小高)うふふふふ!(笑)

(古川)そうです。

(小高)え!それでいいのか!!(笑)

(古川)そこの問題は、家だったら暗いだけでいいんですけど、心臓の場合は心室という全身に血液を送るポンプが動かなくなってしまうので。

(小高)ダメじゃん!

(古川)ただ心臓ってうまくできていまして、先週に洞結節は生まれつき持っているペースメーカーのお話をしたと思うんですけど、(房室ブロックによって)脈がすごく遅くなった場合、実は房結節自体が補助するようなペースメーカーとして働きだします。

(つボイ)第二のペースメーカー!?

(古川)それで死に至るということまでは至らないことが多いんですけど、ただ会社の組織で考えれば、洞結節は”社長”なんです。すごくよく働くし、ちゃんと動けば脈も上がるし、うまくちゃんとコントロールしてくれる。でも、“部長”である房室結節にはそこまでの能力はないんです。洞結節が脈を1分間に60から100ぐらい打つのに対して、房室結節は1分間に50ぐらいしか打たない。そういった十分な脈拍をあげれないという可能性はあります。

(つボイ)そこに治療が必要になってくるんですか。

(古川)そうなんです。脈が遅くなりますので、運動しても息が切れる、あるいは目の前が暗くなって意識が遠のきだす、最終的に失神してしまう・気を失ってしまう。そういったことが起こる可能性があります。

(つボイ)これも気を失ったりするんですね。

(小高)これはやっぱり何か他の心臓病に伴って、こういうことが起こったりするんですか?

(古川)はい。もちろん加齢による変性で、細胞が障害されてくるということはあるんですけど、この房室ブロックに関しては他の病気が隠れていることも多いんです。例えば心筋梗塞ですとか、心筋症という心臓の筋肉の病気ですとかが原因になって起こることもあります。

(つボイ)今2つ該当しています、私。高齢と心筋梗塞、2つのリスクをもっています。

(古川)心筋梗塞が起こった時になるものであって、心筋梗塞を過去に起こした人がなりやすい、という意味ではないです。

(つボイ)ちょっと1つリスク減りました。

(小高)これも徐脈だからペースメーカーで治療するんですか?

(古川)症状がある場合はペースメーカーが必要になってきます。ただ若い人に起こることもあるんですけど、若い人の房室ブロックというのは、若い人は自律神経が活性化していますので、そういったことで房室ブロックをきたすことがあるんです。それは全く治療も必要ないですし、普通の健康の人と同じような状態でもあるんですね。その人それぞれよって治療するべきかどうかは違います。

(つボイ)ペースメーカーで治療した際に、ブロックされているのにそこは電気が通るんですか?ブロックという言葉がちょっと気になるんですが…。

(古川)心房から心室電気が通らないわけですから、ペースメーカーは心房を刺激するのではなくて、心室自体を直接刺激します。ただ、心室だけを刺激すると、心房と心室の動きがバラバラになってしまうので、そこでペースメーカーはリードを心房にも心室にも入れるわけなんです。心房で出た電気をペースメーカーがキャッチして感知して、それに合わせて心室を刺激します。それによって心房⇒心室と順番にちゃんと動くようなシステムです。

(小高)よくいろんなグループとか団体の中で「あいつはペースメーカーになっている」とか言いますけど、『いろんなところをコントロールしてて、相対的にうまく動くようにする』というようなことなんですね。

(古川)そうですね。できるだけ生理的な状況を目指すというのが、ペースメーカーの役割でもあります。

 

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(つボイ)改めて不整脈にもいろんな原因がありますね。

(小高)そうですね。そしてそれによって治療法も変わってくるということも教えていただいております。来週も古川先生に不整脈について教えていただきます。『健康のつボ~不整脈について~』でした。 

 

 

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CBCラジオ「健康のつボ~不整脈について~」 第6回(令和4年2月9日放送内容)

CBCラジオ「健康のつボ~不整脈について~」 第6回(令和4年2月9日放送内容)
出演/つボイノリオさん(タレント)、小高直子さん(アナウンサー)、古川善郎医師(一宮西病院  不整脈センター センター長)

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(小高)水曜日のこの時間は『健康のつボ~不整脈について~』。一宮西病院 不整脈センター センター長の古川善郎(ふるかわ よしお)先生にお話を伺っております!

(つボイ)はいっ!というわけで不整脈~!いろんな治療法があるということを教えていただきました。

(小高)そもそもこの不整脈というのも、脈が正常でない打ち方をした時の総称ですから、原因によって症状も違えば治療法も変わってくるわけですね。

(つボイ)はい

(小高)今週からは、それぞれの不整脈のタイプ別に詳しく教えていただきます。古川先生のお話、今日はまずどんなタイプの不整脈からでしょうか?

 

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(古川)今日は洞不全症候群(どうふぜんしょうこうぐん)についてお話ししたいなと思います

(小高)洞不全症候群??

(つボイ)どんなもんなんですか?

(古川)徐脈、脈が遅くなる病気の1つなんです。人間は60~100でずっと心臓を打っているわけなんですけども、運動すれば脈が早くなるし、寝ていれば遅くなる。それは洞結節(どうけっせつ)という心臓の元々持ってるペースメーカーがコントロールしています。その洞結節自体が調子が悪い、つまり洞結節の不全を洞不全症候群といいます。

(小高)ほぉ~。そうすると”発電所”の異常、ということですか?

(古川)そうですね。

(つボイ)適切な心臓の動きをしなくなるということですかね?

(古川)極端に脈が遅くなります。例えば心拍数が30~40とか、運動しても脈拍が上がらないとか。あるいは徐脈頻脈症候群というタイプもありまして、これはの心房細動とセットになることが多いんですけど、心房の心拍数が300回~400回ぐらいとすごく早くなるのが心房細動なんですよね。すごく早いと、洞結節自体はもずっとそれに引っ張られて、無理やり動かされているような状況なんですね。すると、洞不全の人はそれで洞結節がへたっちゃうんです。そうなると心房細動がいざ止まった時に、正常の人は1秒から2秒後に自然と正常の脈が出てくるもんなんですけど、洞不全の人は心房細動止まった後に5秒とか6秒、あるいはもっと長く心臓止まってしまうんです。

(つボイ)めちゃくちゃ不安じゃないですか !感じるんですか?

(古川)感じるというよりも、気が遠くなって目の前が暗くなって、もっとひどければ失神します。

(つボイ)ありゃりゃりゃ~…

(小高)ふらついたり気が遠くなったりするってことは、患者さんの感じ方として、心臓の症状だなというのはわかるもんなんですか?

(古川)心房細動が一緒の方は、動悸を感じる方はいらっしゃいます。ただ感じていない人もいます。感じていなくて気を失って初めて気づくっていう人もいらっしゃいます。そのまま心臓が止まり続けて死んだりするってことは、まず考えなくてもいいくらいほとんどないんですけど、5秒~10秒止まってるうちに目の前が暗くなって、僕らは「眼前暗黒感(がんぜんあんこくかん)」って言うんですけど、だんだん目の前が暗くなって意識を失って失神してしまう・気を失ってしまうのがこの病気の特徴です。

(つボイ)不安ですよね、そんなことになったら。

(小高)ふわ~って急に意識がなくなるってことは、車を運転してる最中ってこともありえますよね。

(古川)そうですね。失神するっていう状況がわかれば、車の運転はできなくなります。なのでこういう人たちはースメーカーを埋め込みます。ペースメーカーを埋め込むことによって失神をほぼ100%防げると思います。

(小高)そっかそっか。洞結節という本来のペースメーカーがなかなかうまく働かないということなので、人工のペースメーカーに変える、ということですね。

(古川)はい。先ほどの心房細動とセットの方は、心房細動を治療することでペースメーカーを埋め込まない、という方もいらっしゃいます。心房細動が起こらなければ失神もしない、ということであれば、心房細動の治療でうまくいく場合もあります。

(小高)こういった状態になりやすい人とか、あとならないように何かこういうことすると予防になるよとかってあるんですか?

(古川)この洞結節の加齢による変性と言われてますので高齢者に多いのは事実なんですけど、どういう人に多いかっていうのはなかなかわからないというか、はっきりしないです。逆に不整脈を抑えるための薬物を飲むことで、こういった洞不全が出てくる場合もあります。その場合はお薬を辞めるというのも必要なってくると思います。

(小高)一般的には高齢化に伴っていうことだったら…予防できないですね。

(つボイ)なんやら心配になってきましたよ。

(古川)皆が皆なるわけではありませんが、ごくごく軽い頻度ではなるのが現状だと思います。

(小高)この洞不全症候群も心電図で判明するんですか?

(古川)そうですね。脈が極端に遅い人は心電図をとればわかりますし、例えば運動負荷をして心電図をとってみても拍数が全然上がらなくて分かることもありますけども、なかなか捕まらないと思うんです。やっぱりさっき言った失神ですとか、目の前が暗くなる、あるいは動作時の息切れから判明する、というのはあります。運動したときに脈が上がらなく息が切れやすくなっている。そういった方に24時間心電図をとって、運動時心拍数はどうなってるのかっての見ることで発見する場合もあります。

(つボイ)そしてペースメーカーで治療をするという話ですね。

(古川)はい。

 

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(つボイ)ほんとこれね、気が遠くなったり失神したりするのが運転中だったら危険ですし、歩行中でもちょっと土手や堤防のとこでふらふらして川に落ちたりとかしたら本当に危ないですね。

(小高)だから原因を取り除くための治療をしなきゃいけないし、場合によってはペースメーカーが必要ってこともあるということですね。来週も古川先生に不整脈について教えていただきます。『健康のつボ~不整脈について~』でした。 

 

 

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CBCラジオ「健康のつボ~不整脈について~」 第5回(令和4年2月2日放送内容)

CBCラジオ「健康のつボ~不整脈について~」 第5回(令和4年2月2日放送内容)
出演/つボイノリオさん(タレント)、小高直子さん(アナウンサー)、古川善郎医師(一宮西病院  不整脈センター センター長)

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(小高)水曜日のこの時間は『健康のつボ~不整脈について~』。一宮西病院 不整脈センター センター長の古川善郎(ふるかわ よしお)先生にお話を伺っております!

(小高)さあ、不整脈というのは“正常な脈ではない脈を打つこと”の総称で、その原因や症状には様々な種類があるということでしたよね。

(つボイ)この不整脈の種類によって治療法も変わってくるとは思うんですけども、どんな治療法があるかちょっと気になりますね。

(小高)私の不整脈の場合はね、カテーテルアブレーションという治療法でもって、不整脈の原因になっている心臓の場所までカテーテルでずっと管を通して、そこをジュッと焼くんです。

(つボイ)焼く!?

(小高)そういう治療を受けました。

(つボイ)一部分とはいて焼くだなんて、聞いてるだけで胸焼けがしそうな気がする…。

(小高)ちょっとびっくりしますけど、これは割と一般的な治療法だということですよ。

(つボイ)そうなんですか。

(小高)で、不整脈の治療はほかにもいろいろあるので、今日は色々な治療法について一宮西病院 不整脈センター センター長の古川先生にお聞きします 。

 

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(古川)大きく分けて不整脈の治療法というのは、お薬(薬物)による治療と、お薬以外(非薬物)による治療に分かれると思います。例えば、脈が遅いことに対するペースメーカーであったり、不整脈の原因を根治させるカテーテルアブレーション/カテーテル治療というのが非薬物治療になります。

(小高)私もカテーテル治療って聞いたとき、「えっ!手術ですか!?」って聞いたんですけど、アブレーションというのは内科的治療なんですね。

(古川)そうですね。外科の先生が胸を開いて直接心臓を触るというのではなくて、足の付け根から細い管を入れます。この細い管ことを『カテーテル』といいます。そのカテーテルを心臓に当てまして、原因となる細胞を焼灼(しょうしゃく)、焼いてしまいます。最近は冷やすという方法もあるんですが、原因となる細胞を傷害させることがアブレーションというものなんです。

(つボイ)「熱っっっ!!」っとなった?

(小高)そうやってね、「熱いですか?」って私も聞きましたよ。でもそんな「熱い」というのではなかったですね。

(古川)患者さんによっては痛みを訴える方もいらっしゃるんですけども、当院ではアブレーションをやるときの多くは全身麻酔に近い状態でやるので患者さんも寝てしまっています。

(つボイ)あんた全身麻酔だった?

(小高)私はね、部分麻酔なの。

(古川)そうですね。局所麻酔でやる場合もありますけど、最近では全身麻酔でやる方法も増えています。

(小高)焼くってびっくりしません?心臓の細胞を壊死(えし)させるんだって。

(つボイ)食べ過ぎたときに『胸が焼ける』っていうのがあるけど、それとはまた違うんですよね。

(小高)違います!壊死させるってことだから、私も話を聞いたときに「え、一部分でも心臓を壊死させるって大丈夫なの?」って思いました。

(古川)ごくごく数mmなので、ほとんど心臓の機能に影響は特にないと思います。

(つボイ)細かい作業なんでしょうね。

(古川)そうですね。最近は三次元(3D)で心臓を見れるような機械も発達してますので、心臓の場所とかもわかりやすくて、僕たちにとってはすごく治療がやりやすくなってきています。

(小高)私の場合は心房細動という、言ってみれば“鼓動乱れ打ち”みたいなものの治療でカテーテルアブレーションをやったんですけれど、同時に私がやったということで言えばお薬による治療もありました。

(つボイ)これ、薬だけでも良いんですか?平行してやるものですか?

(古川)基本的にはカテーテルアブレーションは根治を目指すものなので、最終的にカテーテルアブレーションの場合は「お薬をなしにしよう」というのが僕らの目指すところです。でも手術をするというのは患者さんにとってハードルが高いので、最初はお薬を選択される患者さんもやっぱりいらっしゃいます。お薬にもいろいろなタイプがありますので、患者さんに合わせていろんな薬を試してみるっていう方法が取れると思います。ただお薬というのは心臓を抑え込むようなお薬ですので、副作用の問題ですとか、特に心臓が悪いという患者さんに対して使えるお薬はすごく限られてきますので、可能なら、僕らは根治を目指すアブレーションはお勧めすることが最近は多くなってきています。それぐらい有効性も安全性も上がってきているというのが実情ですね。

(小高)あと、ドラマなんかで「私の体にはペースメーカーが埋まっている…」みたいなセリフありますけど、ペースメーカーというのは以前伺った不整脈の種類のなかで、何に使う治療なんですか?

(古川)今お話ししたアブレーションは基本的には『頻脈』、脈がすごく早いことに対する治療法なんですが、ペースメーカーというのは逆に脈が遅くなる人(徐脈)に対する治療が中心です。例えばすごく脈が遅い人、あるいは突然心臓が数秒から10秒ぐらい止まってしまう人、そういったことで失神、気を失ったりするような人は、症状が出たときにペースメーカーで脈を心臓に打たせることで失神を防ぐことができます。

(小高)不整脈の種類によって、それからその患者さんの状態によって、こういった色々な治療方法を選んだり組み合わせたりしながら治療するんですね。

(古川)そうです。

 

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(つボイ)脈が遅くなる人と早くなる人では治療法が違ってくる、ということでしたね。

(小高)はい。だからまず不整脈がある人は、自分がどんな症状で何が原因かってのまず診断してもらうところから始まるわけですね。来週は『治療が必要な不整脈』をそのタイプごとに古川先生に詳しく教えていただきます。『健康のつボ~不整脈について~』でした。 

 

 

 

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CBCラジオ「健康のつボ~不整脈について~」 第4回(令和4年1月26日放送内容)

CBCラジオ「健康のつボ~不整脈について~」 第4回(令和4年1月26日放送内容)
出演/つボイノリオさん(タレント)、小高直子さん(アナウンサー)、古川善郎医師(一宮西病院  不整脈センター センター長)

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(小高)水曜日のこの時間は『健康のつボ~不整脈について~』。一宮西病院 不整脈センター センター長の古川善郎(ふるかわ よしお)先生にお話を伺っております!

(小高)古川先生によると、不整脈が疑われた時は、しっかり検査して診断を受けることが必要だとおっしゃっておられました

(つボイ)不整脈の検査・・・どんな検査なんでしょうね?

(小高)はい、というわけで今回は検査方法のお話です。古川先生です。

 

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(古川)不整脈の検出に一番大切なのは『心電図』をとることだと思っています。不整脈が起こっている時に心電図を取れば、ほぼほぼ診断はつくと思うんですが、不整脈が起こっていない時に心電図を取っても、不整脈かどうなのか、わからないことがほとんどなんです。なので僕達医者は、不整脈が起こってる時の心電図が見たいなと思います。

(つボイ)正常になってしまったタイミングでとってしまったら、もう分からないと。

(古川)そうなんです。

(小高)健康診断だと10秒くらいしか・・・。

(古川)そうですね、10秒くらいかな。

(小高)本当はもっと長く心電図取ってもらった方がいいですね?長くとるっていうのは、大体どのくらいとるものなんでしょうか・・・?

(古川)例えば、『ホルター心電図』っていう検査があるんですけど、お弁当箱みたいなのを首からぶら下げて、24時間心電図とる検査器具があるんですね。病院でつけてもらって、ご自宅戻っていただいて、日常生活してもらって、1日経った翌日に病院に返してもらう。24時間の心電図をとることで、検出能力が高くなります。ただやっぱり24時間分しか取れないので、ある日不整脈が起こっても次の日は起こらなかった、というようなことがあるとわからない場合もあります。

(小高)なるほど・・・まぁでも1日分はとりあえず見れるという。

(古川)10秒よりかは長くとれます。

つボイ)安心ですね。

(小高)私も前にね、それぶら下げて1日過ごしました。普通に過ごしてくださいって言われて。あれぶら下げてる時って、その日1日何したかを書くんですよね。トイレでいきんでた時とか(笑)

(古川)症状と不整脈の関係を僕らは見たいんですね。なので、患者さんが「動悸がよくある」と仰られてたとして、その動悸と不整脈が一致すれば、一発で診断つくわけなんです。

(小高)つボイ)はぁ~、なるほど。

(小高)あと、私あれもやりましたよ。階段の昇り降りの運動みたいな。それをやった後に計るという。

(古川)それは心臓に負担をかけるというものですね。不整脈が起こる原因の1つとして、『心臓の虚血』いわゆる心臓の血管が細くなっていたり、そういったことで起こったりもしますのでそういったことを検出できるように、運動することによって自律神経を高めることで出やすくさせる、っていう意味だと思います。

つボイ)私も運動負荷による心臓に負荷をかけるというのもやりましたね。

(小高)あと、不整脈って超音波(エコー)で計る方法もありますよね?

(古川)超音波はあくまで心臓の動きを見るものなんですよね。特に『心房細動』というのはすごく心不全にかかわってくるところなので。心房細動がある人は心不全になりやすいし、心不全の人は心房細動が起こりやすい。つまり、心臓に原因がある方もいますし、心房細動で心臓が悪くなられる方もおります。そういったものを見るためのチェックですね。あと心室性の不整脈でしたら『心筋梗塞』ですとか『心筋症』というような病気が隠れてる場合もありますのでそのチェックのための超音波(エコー)検査でもあります。不整脈の診断のためではなく、不随する基礎疾患の診断(特定)のためにやるものなんですよね。

つボイ)でもそういうのも見つけてもらいたいですね!

(小高)なんかすごく心臓が気持ち悪くて、様子がおかしくて先生のところへ行って、「先生!なんか鼓動がおかしいんですわ~!」って行っても、診てもらってる時はなんか平気になっちゃうんですよね~。あれ結構あるんですよね。なんなんでしょうね?(苦笑)なので診てもらうためには、おかしい時に診てもらわないといけない。そこが「いつ」なのかっていうのを見つけるというのがまず1つ目のポイントですね。

(古川)他にも最近、『携帯心電計』っていうのがあって常に携帯して自分の心電図常に撮り続けるものだったりとか、皮膚の下に埋め込むっていうものもあるんです。

(小高)へぇ~!埋め込む!

(古川)例えば最近ですと、スマートウォッチですね。アップルウォッチなんかですとか。

つボイ)私今持ってますよ!

(古川)日本だとまだ保険適用通ってないので、自費になってしまうんですけれど、海外ですともう使っていたりとかしていますね。

つボイ)保険~!そうか・・・まだやったか!

(小高)先生私が不整脈になった時から色々進化してますね!(笑)え~まずは色んなタイプの心電図で、どんな状態になっているのかということを、先生に診て知ってもらうってところからですね。そこが大事ですね。

 

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(小高)ね~!だから不整脈の難しいところって、”起こったとき”をまず捉えないといけないっていうのが1つあるんですね。心電図で計っていても、その時に不整脈が起こってないと診断ができないですもんね。

つボイ)まあスマートウォッチとかなら、どうせ毎日つけておりますからね。これから保険適用になるといいですね~。

(小高)はい。来週は不整脈の主な治療法についてお聞きします。『健康のつボ~不整脈について~』でした。 

 

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