CBCラジオ「健康のつボ~脳卒中について~」 第5回(平成30年10月4日放送内容)

 CBCラジオ「健康のつボ~脳卒中について~」第5回(平成30年10月4放送内容) 
出演/つボイノリオさん(タレント)、小高直子さん(アナウンサー)、宮嵜章宏医師(一宮西病院 ストロークチーム・脳神経外科部長) 

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(小高)毎週この時間は「健康のつボ」です。日本人の死因の第4位となっている「脳卒中」について、専門家の先生に伺っております。ゲストは一宮西病院ストロークチーム・脳神経外科の部長、宮嵜章宏先生です。よろしくお願いします。

(宮嵜)よろしくお願いします。

(小高)今回も脳卒中の中でも7割を占めるという「脳梗塞」についてお話を伺っていきます。

(つボイ)前回はどうやったら脳梗塞にならないようになるかというお話を聞いておりましたが、もし脳梗塞になってしまったら、先生たちはどういう治療をなさるんですか?

(宮嵜)まずは一刻も早く病院にきていただくことが大事です。というのも、時間が早ければ行える治療もあるんです。もしも発症して4.5時間以内であれば「血栓溶解療法」といって血栓を溶かす点滴を使います。また、発症してから8時間以内であれば「血栓回収療法」といってカテーテル血栓を取り出す治療法が適応になる場合があります。

(小高)カテーテルというのは、血管に通す細い管ですよね?

(宮嵜)そうです。いわゆる心臓の治療と同じように、脳の方に「マイクロカテーテル」という非常に微細なカテーテルを通します。

(小高)それで血栓を回収するんですか?

(宮嵜)そうです。ステントというものがありまして、心臓の治療にも使われますが。

(つボイ)あ、私にも入っております。

(宮嵜)そのステントを脳の血管に詰まった血栓のところまで持っていって、血栓をステントに絡めて取り出してしまう方法です。

(つボイ)要するに、例えば下水とかが詰まっときにトイレのスッポンなどで取り除いて流れるようにするみたいですね。

(宮嵜)その通りです!実は、掃除機のような吸引機もあります。

(つボイ)吸い取ってくれる!?

(宮嵜)そういうことです。さらに、掃除機のような吸引装置とステントを組み合わせて両方使うという治療法もあります。

(小高)先生は「脳梗塞」は本当に早く病院に来てもらわないといけないと仰っておりましたけれど、この血栓回収療法は8時間以内だったら大丈夫なんですか?

(宮嵜)そうです。これもやはり早ければ早いほど良いと言われています。ただ最近では、12時間を越えても有効であった症例がありまして、今後は適応がもっと広がってくるという可能性があります。ただ、この血栓回収療法が行える脳梗塞のタイプは、太い血管が詰まった方で、しかも早い時間に、血栓回収療法ができる施設に行かないとダメなんです。

(つボイ)ということは、血栓回収療法が出来ない施設もあるということですね?

(宮嵜)その通りです。

(つボイ)血栓回収療法は新しい技術なんですね。

(宮嵜)2010年にこの治療法が開発されまして、実際にグレードAという“推奨すべき治療法”と認められたのは日本では去年からなんです。

(つボイ)えー!2017年から!?

(小高)ではまだそんなに普及していなくて、いろんな病院で行っていないということですか?

(宮嵜)実は、血栓回収を行うドクターというのがまだそこまで全国的に広がっているわけではないんです。一方で、病院によっては24時間体制で血栓回収療法を行う取り組みをしているところもあります。

(小高)宮嵜先生のいる一宮西病院は「血栓回収療法」をやっているんですか?

(宮嵜)はい。僕自身も治療を行っていますし、一宮西病院は24時間体制をとっています。

(小高)名古屋から一宮西病院まで8時間で行けますか?

(つボイ)行けるわ!

(宮嵜)全く問題ないです!

(小高)本当!じゃあ行けばいいんだ!

(つボイ)あんたも心配やなぁ。心配性やね。

(宮嵜)まずその前に脳梗塞にならないように気をつけてください。

(つボイ)生活習慣やね!あんた、ご飯バクバク食べてお酒もガバガバ飲んでいるからや!

(小高)でも、今後どの病院でも血栓回収療法ができるようになれば嬉しいですよね。

(宮嵜)そうですね。今、脳神経外科学会では『どの地域のどの病院でも行えるように』といろんな取り組みを行っている状況です。

(つボイ)やっぱり医術は日進月歩ですから、患者からしたら先端の治療を受けたいですよね。

(宮嵜)もちろんそうだと思います。後遺症が残るだろうと思われた方が、血栓回収療法を受けて全く後遺症もなく帰られた方もたくさんいらっしゃいます。

(小高)はぁ~。さっき先生が仰ったように『太い血管か細い血管か』とか、『発症してから何時間以内』とかいろんな条件によってどの治療法がいいかというのは変わってくるんでしょうけれど、やっぱり選択肢が広い中でピッタリなものを選ぶのが一番良いですもんね。

(宮嵜)仰るとおりです。

(つボイ)いずれにしても、「FAST」のT・タイムですよね。覚えておこう!

(小高)来週もまた色々伺ってまいります。先生どうぞよろしくお願いいたします。

(宮嵜)よろしくお願いいたします

(小高)ありがとうございました。一宮西病院の宮嵜章宏先生でした。「健康のつボ~脳卒中について~」でした。

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