CBCラジオ「健康のつボ~形成外科について~」 第13回(令和6年6月26日放送内容)
CBCラジオ「健康のつボ~形成外科について~」 第13回(令和6年6月26日放送内容)
出演/つボイノリオさん(タレント)、小高直子さん(アナウンサー)、野田慧医師(一宮西病院 形成外科部長)

(小高)毎週この時間は「健康のつボ~形成外科について」。形成外科ではどんな疾患を診てもらえるのか?一宮西病院 形成外科部長の野田慧(のだ けい)先生に教えていただいてきました。
(小高)今日がこのシリーズの最終回になりますね。
(つボイ)私は診てもらった経験がないので、形成外科は聞きなじみのない診療科でもありましたけれども、実にいろいろな疾患の患者さんを診察しているということがよくわかりました。
(小高)すごく大事な科だっていうこともわかりました。最終回の今日は、現代医学において欠かすことのできない、形成外科の意義を改めて教えていただきます。野田先生です。
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(野田)医療というのは、病気を治すというのが大前提なんですが、病気が治れば見た目や傷がどうでもいいのかというと、そういうことではないかなと。やはり生きてくためには、見た目が良くない状態ではなかなか辛いということで、見た目を良くしていこうというのが、形成外科のスペシャリティーなところだと思います。
(つボイ)(小高)はい。
(野田)以前もお話ししましたが、美容外科と施術の内容は近く、根っこは同じようなものです。ですが、先天的、後天的な病気や事故、怪我などが原因で形態的、機能的に劣った状態になってる方を、より正常に近い形に直してあげるというところが、形成外科のやりがいというか意義かなと感じています。
(小高)はい。なんかこう、扱うものは人間の体に当たる部分を扱ってるんですけれども、お話を聞いてると、精神的なところのケアに非常に関わってる感じですよね。
(野田)そうですね。やっぱりクオリティオブライフ(QOL)と何度かお話ししたと思うんですが、これってすごく大事で、例えば眼瞼下垂の患者さんが、目が開くようになって外来に来た時に、ちょっとおしゃれになっていたりすることがあるんです。また、皮膚がんのお顔を治した方も、前は日焼け止めを塗って買い物に行っていなかったのが、手術をしてから塗るようにしてますとか。そういう意識的な変化や気持ち的な変化を、手術によって患者さんにもたらすことができるというところが、形成外科のやりがい、いいところかなと思っています。
(小高)性格もがらっと変わるなんてこともあるかもしれないですよね。
(野田)やっぱり雰囲気が明るくなったりする方はいらっしゃいます。
(つボイ)病気って大体そうですよね。普通の病気でも、治ったらやっぱりちょっと気持ちは明るくなるんですが、さらにそこの総仕上げでしょうね。
(野田)分かりやすく言えば、乳房再建の方は、お風呂にずっと行けなかったのが行けるようになったとか、水着を着れなかったのが着れるようになったとか、他にも腿(もも)に大きな傷があって、手術できれいに治したらスカートを履けるようになったとかですね。なんというか、選択肢が広がるので、そういう意味でより楽しく、明るく暮らしていけるところを作ってあげられるのかなと思います。
(つボイ)私なんか銭湯好きの人間ですからね。それが行けないのと行けるようになったのでは、その1つとってもだいぶ違うということは私でもわかります。
(小高)この形成外科って、比較的新しい分野だと思うんですけれども、形成外科ができて、これだけ発展してきてるというのは、昔からずっと培われてきた医療の考え方が本当に成熟して、その上にあるのがこういう形成外科っていう形になってるのかもしれないですよね。
(野田)そうですね。例えば、他の科の先生は病気を治すことがメインなんですけど、治療時にできる傷のところだけを私たちがやらせてもらうとか、形成外科の方がより良く行えるところを、専門的に担えるようになったことが、プラスに働いてきていると思います。
(小高)病気や怪我を根本的に治してもらって、さらに形成外科でそういった見た目やQOLのところもカバーしてもらって、全体でやっと1人の患者さんが生きられるみたいな感じですよね。