CBCラジオ「健康のつボ~心臓病について~」 第10回(令和4年9月7日放送内容)
出演/つボイノリオさん(タレント)、小高直子さん(アナウンサー)、澤﨑優医師(一宮西病院 ハートセンターセンター長 心臓血管外科部長 弁膜症センター長)
(小高)水曜日のこの時間は『健康のつボ~心臓病について~』。適切な治療を行わなければ死にも直結する心臓病について、専門の先生にお話をうかがっています。一宮西病院 ハートセンターセンター長 心臓血管外科部長 弁膜症センター長の澤﨑優(さわざき まさる)先生です。
(小高)ここのところ澤﨑先生ご専門の心臓弁膜症について教えてもらっていますよ。
(つボイ)どこの弁が悪いのか、狭くなっていて血液の流れが悪いのか、しっかり閉まらずに逆流しているのかなど、どう悪いのかによって治療法も変わってくるということでしたね。
(小高)根治させるには手、人工弁に置き換えるか、自身の弁を生かす弁形成術か、という選択になります。しっかりセカンドオピニオンを聞くことも大事だそうですよ。
今日は大動脈弁の閉鎖不全症、狭窄症の原因のひとつにあげられる二尖弁についてうかがいます。
澤﨑先生です。
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(澤﨑)大動脈弁というのものは、3つの膜からできている三尖弁なんですね。3つの膜が重なり合って、120度ですよね。120度の角度は開いた時の面積が最大になる、またうまく閉じやすい。これが4枚だと閉じにくいのわかりますか?8枚だとさらに閉じにくいですよね。これは神様が創りだしたもので、もっとも合理的な3枚の膜でできています。
実は1クラスか2クラスにひとり、二尖弁の人がいます。
(小高)本来は3枚の膜なんだけれども、それが先天的に2枚の人がいるってことですね。
(澤﨑)心臓はね、赤ちゃんができたら3か月くらいででき上がるんですけども、その時に大動脈弁の膜が3枚にうまく分かれない人がいるんですね。それで3枚のうちの2枚がくっついちゃってる。
(小高)そうするとやっぱり、閉じにくかったりとか不都合が出たりはするんですか?
(澤﨑)実は最初はほとんど症状はありません。病気になってくるのは2パターンあるんですが、
1つのパターンは若い時、10代後半から20代前半に2枚のくっついた方の弁が落ち込んじゃって逆流を起こしてくる。『大動脈弁逆流』これは治療の対象になります。
(つボイ)(小高)はい。
(澤﨑)もう1つは人生の後半ですね。3枚の方でもなるんですけど『大動脈弁狭窄症』、これは3枚の方は70代で起こるんですが、2枚の方は狭くなりやすくて60代で起きてきます。これも手術の対象になります。
(小高)ということは、膜が2枚だということそのものが病気というわけではないんだけれども、病気になりやすい資質を持ってしまっているということなんですね。
(澤﨑)その通りです。
(小高)そうすると、まず自分が二尖弁ということを知っておくことが大事ってことですか?
(澤﨑)これはね、ほとんどわからないです。
(小高)わからない!
(つボイ)なんかレントゲン撮ったら見えそうなのに。
(澤﨑)見えないんです。聴診器でもわからないです。病気になってればわかりますよ。病気になる前はわからないから、みんな知らないうちになってる。
(つボイ)ほぉ~。
(澤﨑)今、循環器内科では聴診器代わりに超音波をしたりすることもあるんですけど、そうするとすぐに診断がつきます。でも、すぐに治療が必要かといったらそうじゃない。
(小高)はい。
(澤﨑)ここで大事なはなしが1つあるんですが、大動脈弁二尖弁の逆流のほうですね。従来は、まぁ20年以上前はですね、人工弁置換してたんです。
(小高)すっかり置き換えちゃうということですね。
(澤﨑)20歳くらいの方にね。生体弁だと15年くらいしか持たないから困りますよね。ただ女性の方だと生体弁を使わないと、機械弁だとワーファリンを飲まなくちゃいけない。
(小高)お薬ですね。
(澤﨑)ワーファリンには催奇形性がある。
(小高)催奇形性?